アルツハイマー病の「真の原因」が解明された!! アミロイドβは単なる悪者ではなく、炎症、栄養不足、毒素からの「防御反応」の一環と して、アミロイドβを集結させて、脳全体を守っていた。 脳に対する脅威が強力で、一向に収まらない状態が長く続いた場合は、本来は脳を守るた めに出来たアミロイドβ自体が過剰になってしまい、逆に脳を破壊することになってしま う。原因を知り、一人一人に治療を最適化することで、アルツハイマーは予防できる。
認知症は、「無症状」で数十年も進行している。
名前がなかなか出てこない、夕方になると疲れる、どうしても顔が思い出せない
40代になればだれでも身に覚えのある、このようなふとした瞬間。
それは、認知症がすでに進行していることを知らせている可能性がある。
認知症は、激しいもの忘れやうつ状態などの明確な症状が、最初から現れるわけではない。
代表的な認知症であるアルツハイマー病は、症状が現れてから診断を受ける15~20年前、
普通は、40歳ごろにひっそりとはじまる。自覚症状がないまま、静かに病気は進行していく。
当然、本人も周りの家族も気づきようがない。60 歳頃に症状が現れたころには、病気はすでに進行し、
末期に差し掛かっている。(実際に診断ではこの段階は「早期」と呼ばれている。)
「アミロイド仮説」の崩壊によって劇的に変わる治療
今、ブレデセン博士らの研究により、アルツハイマー病の真の原因が特定され、世界のアルツハイマー病治療に、パラダイムシフトが起こりつつある。
これまで、アルツハイマーの原因は、脳に「アミロイドβ」と呼ばれる、べとついたタンパク質の塊が蓄積され るためとされてきた。(「アミロイドβ仮説」と呼ばれている)
しかし「なぜ、アミロイドβが脳に溜まってしまうのか」という根本的な理由ではなく、ひたすらアミロイドβ を除去する治療のみ行われてきた。
しかし、たとえアミロイドβを除去出来ても病気は一向に回復せず、アミロイドβを標的に開発された治療候補 は、99.6%とほとんどが不発に終わっていた。
そして、アルツハイマーは「不治の病」であるという烙印が押し 続けられていた。
ブレデセン医師らのグループは、従来の「脳に溜まったアミロイドβを除去する」ということから、 さらに一歩進んで、「アミロイドβが何で脳に溜まっているのか」を掘り下げて研究した。
その結果、アミロイドβの蓄積は、「脳の正常な防御反応によるもの」であったことを初めて突き止めることに 遂に成功した。
病気の「真の原因」3タイプを解明
① 炎症、②栄養不足、③毒素
ブレデセン医師らの研究から、脳は、①炎症、②栄養不足、③毒素という3つの脅威にさらされると それらに対する「防御反応」の一環として、アミロイドβを集結させて、
脳全体を守っていることが明らかにな った。アミロイドβは単なる悪者ではなかった。
しかし、脳に対する脅威が強力で、一向に収まらない状態が長く続いた場合は、本来は脳を守るために出来た アミロイドβ自体が過剰になってしまい、逆に脳を破壊することに
なってしまうということが解明された。 3つの原因に対応して、病態も3つのタイプ
① 1型アルツハイマー病(炎症型)
② 2型アルツハイマー型(委縮型)
③ 3型アルツハイマー病(毒性)
と、さらに1型と2型がオーバーラップした1.5型アルツハイマー(糖毒性) に分かれることが判明した。つまり、一人一人に治療を最適化しない限りは、
アルツハイマーは治しようがない ということも 3 つの脅威(原因)の発見と同時に明らかになった。
早期なら9割が回復するという高い成功率をもつ、予防・治療法「リコード法」とは
リコード法とは、プレゼン医師らによって、研究結果に基づいて「3つの脅威(原因)」を取り除くために考案された治療法。
非常に高い成功率を持ち、アルツハイマー病の9割に回復が認められた。 プレゼン医師らは、正常な脳では、脳神経の保護、生育と破壊、縮小が上手くバランスを取っているのに対し、 アルツハイマー病では、このバランスが脳神経を破壊し、縮小させる方向に傾いていることも明らかにした。
バランスを悪い方向に傾ける「36の要因」を特定したのだ。
博士は、アルツハイマー病の脳は、例えていえば、穴が36個空いた屋根だと言う。その一つを塞いだだけでは 雨漏りは止まらない。つまり病気の進行を止めることは出来ないのだ。
アルツハイマー病のメカニズムのメカニズムを理解し、どんなライフスタイルが危ないのか? 自分が今送っている生活をチェックし、認知機能の回復や発症を予防する。
運命を変える、今世紀の医学における新たなスタンダード
日本をはじめ、世界が高齢化している21世紀の医学において、アルツハイマー病のような慢性疾患は、発病し てからではなく、何十年前から予防策を実践してすることが新たな常識になってくるだろう。 今や、発症は、「20年前に予防法を知っていたかどうか、そしてそれを実践してきたかどうか」の問題に変わりつつある。
出典 アルツハイマー病-真実と終焉 デール・ブレデセン 著