老化するスビートは、もう、遺伝子で決まっているのでしょうか?
いくら努力をしても、老化を遅らせるなんて、無理な話なのでしょうか?

いいえ、遺伝子が寿命に及ぼす影響は25%。残りの75%は生活習慣や環境、生き方などが
その要因だということがわかってきました。つまり、生活習慣などを意識して過ごしていけば、
老化のスピードは遅らせることが出来るというのです。

最も気を付けなくてはいけないのが「糖化」。老化を促進する要素は、身近にあるのです。
その「糖化」の危険について、認識していきましょう。

糖化とは?

糖化とは、ブドウ糖や果糖などがタンパク質や脂質などに結合する化学反応の事です。
糖質とは、炭水化物から食物繊維を取り除いたものをいい、タンパク質、脂質と並ぶ3大栄養素の
1つとなっています。

なぜ、糖質が悪いのでしょう?

糖質は、確かに、体の重要なエネルギー源になりますが、多く摂り過ぎると問題を引き起こします。
では、糖は、体のどこにあるのでしょうか? それは、体の中の血液や組織の体液中に存在しています。
この糖が、もともと、体内にあるタンパク質と結合して、化学反応を起こしてしまうのです。

糖と結合したタンパク質は、その性質が変わってしまうので、もともとの機能が出来なくなり、
その結果、体のあちこちで、「糖化」が進んでいきます。
糖化は、「コゲ」のようなものだと言われています。体のあちこちが「コゲ」ている。
どんどん劣化してくるのです。

具体的な症状をあげてみると、

・血管の劣化・・・動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞
・肌の劣化・・・たるみ、くすみ、シミ、シワ
・水晶体の劣化・・・白内障
・骨の劣化・・・骨粗鬆症、変形性骨関節症、慢性リウマチ

よく、物忘れを訴える人には、甘いものを好んで食べる人が多いと言われていますが、
まずは、自分の食生活を振り返ってみましょう。かなり、危険なことがわかってきます。

自分の食生活と糖質
糖質と聞けば、すぐに「甘いもの」をイメージしますが、実は、糖質とは、甘いお菓子や飲み物だけ
ではありません。白米、パン、中華麺やうどん、パスタなど、私たちが「主食」として食べているものが、
「糖質」です。また、甘い果物の中にも多く含まれます。

朝食はトーストとコーヒー、昼食には、うどんやそうめんなどで済ませているという人は、要注意です。
食べやすい、手間をかけないようにと、簡単に済ませる食事は、どうしても糖質に偏った食事になって
いることが多いのです。また、それは、食べ物だけではなく、調味料や飲み物も注意が必要です。

血糖値が高くなればなるほど、また、血糖値が高い時間が長いほど、体の中に、たくさんのコゲを作ります。
糖化された物質は体内に長くとどまり、ゆっくりと排出されるので、寿命が長い、脳の神経細胞や、
コラーゲンのようなタンパク質、DNAなどは、ダメージを受け、長く蓄積されていきます。

また、血管の上皮細胞は、糖化によって、直接傷つけられてしまうので、血流の多い所では動脈硬化などが
起きやすくなり、それは当然、脳血管性認知症につながっていきます。

糖質を摂り過ぎるとアルツハイマー型認知症のリスクを上げる

食事などで糖を摂ると、血液中のブドウ糖の濃度が上がり、血糖値が上がります。
次に、膵臓から「インスリン」というホルモンが分泌されて、細胞内に糖を運び、血糖値を下げる働きをします。
インスリンは、加齢を促進するので、糖質をたくさん摂ることで、インスリンもたくさん分泌され、
一気に老化が促進されてしまいます。

また、インスリンの分解酵素は、アルツハイマー型認知症の原因となる「アミロイドβタンパク」を
分解する酵素でもあるので、インスリンが出すぎると、インスリンの分解だけで、他のことができなくなり、
アミロイドβタンパクを分解する余力がなくなってしまうのです。それが、ゴミとして脳内にたまっていくと、
アルツハイマー型認知症のリスクを上げてしまうことになります。

更に、インスリンが出すぎると、今度はインスリンの効きが悪くなって、糖を細胞に取り込めなくなり、
細胞のエネルギー不足から、あらゆる機能低下を起こします。インスリン自体、神経細胞を働かせ、
記憶力を高めるので、インスリンの効きが悪くなるということは、当然、記憶力の低下が起こってくるという
ことになります。

糖化が進むと最終的には、AGES(最終糖化産物)という物質が出来ますが、この過程で、活性酸素が発生し、
タンパク質を酸化させてしまいます。それだけではなく、タンパク質の構造が変化し、タンパク質同士の
結合が起き、機能不全を起こします。高血糖の状態が続けば、高血圧や動脈硬化にもなりやすくなります。

また、AGES(最終糖化産物)も、アミロイドβタンパクやタウタンパクの形成を促し、アルツハイマーの
発症につながっていく可能性が高くなります。

糖化を抑えることは、血糖値を上げない食事にしていくことです。ご飯、パン、麺類、甘いものなど・・。
糖質を過剰に摂取すると血糖値が上がります。当然、認知症のリスクも上がるということです。
もちろん、糖尿病のリスクも上がってきます。
糖尿病患者に、認知症の発症リスクが多いことは知られていますが、血糖値が高いままだと、
脳血管や脳神経に障害が起こりやすくなるためだと言われています。

もちろん、食事をすると、その直後から、誰でも血糖値は上がりますが、問題なのは、
糖質の高い食品のように、急激に血糖値を上げてしまうことなのです。
通常の場合、血糖値は緩やかに上がっていきますが、その後、緩やかに下がって、食後3~4時間で空腹時と
ほぼ同じ数値になりますが、血糖値の上がるスピードが速い食品を摂ると、インスリンが大量に分泌されます。

「GI」「GI値」と耳にすることがあると思いますが、これは、「グリセミック・インデックス」の略で、
食品に含まれる糖質の吸収の度合いを示しています。摂取2時間までの血液中の糖濃度を計り、
どれだけ血糖値が上がるかを調べた指標になっており、カロリーとは違う単位で、食品ごとに数値があります。

血糖値の上がるスピードが速い食品と言うのは、ブドウ糖が多く含まれる食品や、吸収されやすい形に加工して
あるブドウ糖を含む食品で、ケーキやご飯、パンといった食品です。
ご飯やパンと言っても、但し、精製されていない玄米や全粒粉のパンなどは、消化吸収に時間がかかるので、
比較的に、血糖値上昇がゆるやかになります。また、反対に、野菜やキノコ類、豆類、海藻類などは、
ブドウ糖の含有量が少なく、ブドウ糖を消化吸収に時間がかかるので、血糖値は上がりにくい食品です。

タンパク質の摂り方も大切です。糖質を食べた時と比べてみると、血糖値の上昇が緩やかなので、食事をする時には、
初めにタンパク質を食べておくと、血糖値は上がりにくくなります。

食べる順番も大事で、野菜(食物繊維)や肉や卵、魚などのタンパク質を食べてから、最後に糖質を少量摂りましょう。
よく噛むことも忘れずに。血糖値の上昇が緩やかになります。
ココナッッオイルやMCTオイルもタンパク質と同じように、血糖値の上昇が緩やかです。

まとめになりますが、糖質は、なるべく減らして、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富な野菜や肉や魚などのタンパク質など、
主菜や副菜を多く摂るように心がけ、自身の食生活に意識を向けていきましょう。

                       「ボケない人の最強の食事術」(青春出版社 / 今野裕之 著)参照

 

 

 

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