アロマセラピーが認知症ケアに用いられるケースが見受けられますが、ハンドケアやタクティールケアのようにトリートメント・マッサージで 身体に触れられることで症状が改善することを期待しているようです。

しかし、それだけでなくアロマオイルそのものの香りが脳の大脳辺縁系に作用することで、不穏・興奮状態を改善、睡眠の改善など認知症に対する効果が報告されています。

臭覚を通じた作用メカニズム

アロマエッセンシャルオイルの香りの作用として、臭覚から脳に伝わる、皮膚や粘膜を経由して血液循環により全身に伝わる2つのパターンがあります。

人間の脳で情動や意欲、記憶、そして内分泌系と自立神経系に関与している大脳辺縁系に作用します。香りは下記の図のように、鼻→嗅上皮→嗅細胞(嗅毛)→嗅球→大脳辺縁系の順で脳へ到達します。

 

匂いのメカニズム

大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)は、人間の脳で情動の表出、食欲、性欲、睡眠欲、意欲、などの本能、喜怒哀楽、情緒、神秘的な感覚、睡眠や夢などをつかさどっており、そして記憶や自律神経活動に関与しています。

海馬や扁桃体は「嗅覚」との関連性が最も大きな場所です。ここの機能低下が認知症や総合失調症等に深く関わると言われています。嗅覚はこの大脳辺縁系と直接結びついており、これは五感の中で嗅覚だけが持つ特徴で、このことは香りは本能的な行動や感情に直接作用する、と言い換える事が出来ます。

嗅覚は、視覚や聴覚に比べると記憶を呼び起こす作用が強く、特定の匂いや香りがそれにまつわる記憶を呼び覚ますことは「プルースト効果(プルースト現象)」と言われています。
認知症予防に対するアロマセラピーの可能性

アロマオイルの種類

昼に使用されているアロマオイルは、「レモン」と「ローズマリー」が多いようです。

レモンは、さっぱりとした爽やかな香りが特徴で、気分をリフレッシュさせたり、高めてくれる効果が期待できます。

ローズマリーは、ハーブとして料理などに使う人も多いローズマリーは、記憶力を高めたり集中力を上げたりする効果が期待できます

夜に使用されているアロマオイルは、ラベンダーとオレンジが多いようです。

ラベンダーは、安眠効果があることで知られるラベンダーは、心を穏やかにして、リラックスさせてくれる効果が期待できます。

スイートオレンジは、レモンと同じ柑橘系ですが、なかでもやや甘めの香りがするスイートオレンジは、緊張感を和らげてくれる効果が期待できます。

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