高岡御印祭  弥栄節を楽しむ

高岡鋳物発祥の地である高岡市金屋町で、毎年6月19日に行われる御印祭(ごいんさい)の前夜祭が行われ、お祭りに併せて、「高岡酒味の会~御印祭 弥栄節を楽しむ~」が
開催されました。今回は、特別バージョンということで、コーディネートを担当させていただきました。金屋町と言えば「弥栄節(やがえふ)」。高岡鋳物師の作業歌として
約400年の歴史を持つ、富山県高岡市に伝わる郷土民謡です。
 
 
「弥栄」は「いやさか」とも読み、繁栄を祈る意味があります。元々は、鋳物師たちが「たたら」という足踏み式の送風機を長時間踏む際の労働歌として歌われていました。
過酷な労働の中で、互いの調子を合わせ、士気を高めるために歌われたのが始まりと言われています。この「弥栄節(やがえふ)」の生歌を実際に聞いてもらいたい。
開宴に先立ち、町流し直前に、弥栄節保存会のメンバーであり、保存会のメンバーでもあり、津軽三味線芸人の中山孝志・安藤有希子のご両人に来ていただき、
「弥栄節」の演奏をしていただきました。
 
 
最後は、お客様も太鼓と鐘とお囃子で参加していただき、大変に盛り上がりました。
 
 
そして、祭りの「ヨバレ」を実現。「ヨバレ」と言うのは、単なる飲食の場ではなく、祭りを楽しむための文化的な要素があります。
祭りの料理は、2014年に文化庁の地域の文化遺産継承事業として実施された「高岡鋳物師の恵比須講 再現御膳」の記録資料から、ハレの日の御膳や家庭料理を再現し、
また、恵比須講を意識したメニューや現代風にアレンジしたおなかを満たすメニューも盛り込みました。
 
 
お酒はもちろん高岡が誇る「勝駒」です。
 
 
勝駒5種、特吟・大吟・純吟・純米・本仕込が揃いました。
 
 

前菜の恵比須3種盛りは、『恵比須』にちなんだものを作りました。

・恵比須
“えべす”の名の由来は定かではありませんが、おそらく恵比須からだと推測されます。ふいご・恵比須講祭には必ずこれが作られたそうです。また、昔、卵は貴重だったので慶事の時だけ特別に卵を入れたと言われています。

・小判
小判型のだし巻き卵焼き。

・宝袋
稲荷巾着には、昆布豆ほか、ニンジンやこんにゃくがザクザク入っています。

 
煮物
根菜類の炊き合わせは五穀豊穣に感謝して、地元の野菜や海老、昆布、焼き豆腐、こんにゃくを入れました。家庭料理は、海老は入っていないのですが、
恵比須講再現御膳では、伊勢海老の甲冑煮が入っていました。固い殻のあるものを殻のまま出すことは甲冑を付けた前田家の武士の姿を表したものなのだそうです。
今回は食べやすいように海老の殻を取って煮しめに加えました。前田家の梅鉢紋を意識してニンジンは梅の形です。
 
 

恵比須講再現御膳”家庭料理でおもてなし”に、オリジナルのメニューを加えたメニューを入れました。

〜再現料理・紅白おすわい

大根と人参の紅白なますは慶事や精進料理、日常食としても作ります。

 

~オリジナル

・切り干し大根と小松菜の胡麻和え

切り干し大根は、保存性が高く普通の大根よりも栄養価が高く、食物繊維やビタミンC、カルシウム、鉄分などが豊富に含まれています。
また、小松菜にはカルシウム、ビタミンC、β-カロテン、鉄分、ビタミンKなど、豊富な栄養素を含む緑黄色野菜です。毎日の肉体労働にはピッタリです。

・鮭の塩昆布麹

鮭は縁起のいい魚として、出世魚としての意味合いや、子孫繁栄を願う意味合いから、お祝いの席で食べられます。
また、語呂合わせで「災いを避ける」という意味も持っています。

・べったら漬け

べったら漬けと恵比寿講は、江戸時代から深く関わっています。恵比寿講の日に特にべったら漬けを売る店が多く出店したことから「べったら市」と
言われるようになったそうです。

・厚揚げの肉巻きフライ

厚揚げは、良質なタンパク質、カルシウム、イソフラボンなど、豊富な栄養素を含む食材で、筋肉の修復や成長を助ける良質なタンパク質源になり、
腹持ちがいいのが労働者の味方。

〜再現料理・昆布締め

昆布締めは保存食としても、この土地を特色づけるもので、昆布と相性がいいカジキ鮪(ザス)を選びました。

 

 
恵比須講再現御膳 ”家庭料理でおもてなし”より、「黒豆強飯(おこわ)」「小豆汁」
 
黒豆強飯は、マメに働けるということらしいく、.小豆汁は、浄土真宗では10月末〜11月中頃は報恩講の月であったことから、昔より小豆は、開祖の親鸞上人の
好物だったといわれています。この時期に収穫された小豆を味噌汁にしていただくのは、古来より定番でした。
 
 
すっかり夜も更けてきました。食事の後は、弥栄節 町流しの見学と町並み散策をし、締めには、お菓子と抹茶をお出ししました。
お菓子は、引網香月堂さんの上生菓子「鳳翔」。高岡という地名は、中国の古い詩集「詩経」の一節「鳳凰鳴けり彼の高き岡に」に由来しており、前田利長がこの地を
「高岡」と名付けたと言われています。金屋町にかかる鳳鳴橋には、鳳凰像が設置されています。
 
 

 
その鳳凰が飛び立った後を金箔で表してあり、いつもながら素晴らしい。食べる芸術です。
 
 
お祭りで賑わった金屋町も、町流しが終わった後は静けさに包まれました。
 
 
年に一度のお祭りを、私も十分に楽しみました。
ありがとうございました。
 
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