フェルラ酸とは

フェルラ酸はケイ皮酸誘導体の一種で,1886 年に,オーストリアの Hlasiwetz Barth によりオオウィキョウ属のFerula foetida から,分子式 C10H10O4を有する3-methoxy-4-hydroxycinnamicacid として単離・構造決定されました。
フェルラ酸はフェノール酸のひとつでで、植物界に幅広く存在します。米ぬかに含まれている成分として知らていますが、雑穀や大麦,たけのこにはお米やコメの加工品より多く含まれているという報告があります。これは、食品中の総食物繊維含量や不溶性の食物繊維含量が増加すると,フェルラ酸含量も増加する傾向が認められており、フェルラ酸が各部位の細胞壁において,細胞壁マトリックス多糖であるアラビノキシランとエステル結合していることによると推定さています。(日本食品科学工学会誌Vol. 45 (1998) No. 8 P 499-503)
フェルラ酸の製造方法
フェルラ酸は、米ぬかより得られる米ぬか油を精製する過程で生じる米ぬかアルカリ油滓(米ぬかピッチ)を原料として製造されています。米ぬかアルカリ油滓を加水分解し、溶媒で分配することによりフェルラ酸の粗結晶を得、これを脱色および晶析して精製します。

フェルラ酸の吸収・代謝
フェルラ酸は短時間で吸収されて速やかに体内から消失する特性を持っています。
フェルラ酸 は、経口摂取した場合には消化管から吸収され、その殆どが代謝されるか抱合されて排泄されます。また、フェルラ酸はカフェ酸などのフェノール類の中でも胃の吸収率が高いため、吸収されるまでの時間が速いとされています。
フェルラ酸の吸収・分布・代謝・排泄のイメージ

ラットを用いた研究
経口投与したフェルラ酸 は、前腸までに全てが吸収され、5分以内にフリーのフェルラ酸は門脈中に検出され、門脈血液中の全フェルラ酸 に対するフリーの比率は非常に高かった。また、投与後25 分以内に、吸収されたほとんどのフェルラ酸 は肝臓で硫化かグルクロン酸抱合され、 フリーフェルラ酸はわずかで、2 時間以上経つと血中では見出されなかった。胆汁と尿中のグルクロン酸抱合フェルラ酸 の比率は循環に比して著しく高く、グルクロン酸抱合フェルラ酸 は容易に胆汁や尿から排泄される可能性を示しています。フェルラ酸 (70μmol / Kg)をラットに投与した30 分後、血清中のフェルラ酸 濃度はそれぞれ2.7 μmol で、フェルラ酸硫酸グルクロン酸は45.0 μmol であった。投与後の尿中フェルラ酸 は、ヒトでは7-9 時間でピークとなり、経口投与したフェルラ酸 の尿代謝のほとんどは3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸 として排泄された。
参考文献
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フェルラ酸の効果的な摂り方
フェルラ酸は吸収から代謝までの時間がとても速いため、フェルラ酸を多く含んだ穀類から摂取するか、1日に数回に分けて摂取することが生体内での利用率を高めることになります。
フェルラ酸の安全性
ラットを用いた急性毒性試験(単回投与)では、LD50値が2g/㎏体重以上と判断されています。また、亜急性毒性試験(13週間反復投与)においても、最高投与量5%までフェルラ酸投与による異常は認められなかったと報告されています。(東京衛生研年報Ann.Rep.Tokyo Metr.Res.Lab.P.H.,50,1999)
変異原性については、化審法「新規化学物質に係る試験の方法について」の「細菌を用いる復帰突然変異試験」に従って日本バイオ研究アッセイセンターで行われたAmes試験では、最高濃度5㎎/3.15mlプレート濃度でもフェルラ酸は陰性であることが報告されています。
さらに、哺乳類の培養細胞(CHL)を用いた染色体異常試験では、50%細胞増殖抑制濃度(1.0㎎/ml)以下で陰性、またマウスを用いた小核試験でも、1g/㎏体重以下でマウス骨髄細胞に対する小核の誘発性はないと結論付けられています。