環境やキャパシティに合わせて、出来ることからやってみよう。何から始めようか、何を作ろうか、ワクワクが止まらない・・・。
世界の農業に目を向けると、肥料、農薬を利用していることを前提にしての作業体系が成り立っています。日本が世界の中で肥料、農薬などの使用量が一番多い国だということにも驚きです。地球は一人の所有物ではなく、百数億と言われる人間だけのものでもありません。目に見えないもの、虫、鳥、魚、草や木など宇宙の星より多いかもしれないすべての共有財産です。
20世紀は、物質文明と言われ、目覚ましい発展を続けてきました。多様の恩恵を受けて便利な時代になりましたが、便利の代償に地球の破壊が急速に進行しています。その一つに温暖化による異常気象、また、食糧の増産、各地で砂漠の拡大や、食が原因と考えられる多種の病気等が起こっています。
21世紀は明るい時代とは言えないのではないかと懸念されています。
そんな中で、富山県氷見市で「Naice Farm」を営む廣和仁さんに、地球にやさしい、肥料、農薬、家畜糞尿も利用しない栽培法である自然栽培について、教えて頂きました。
◎自然栽培とは
自然農法とは、不耕起(耕さない)、不除草(除草しない)、不施肥(肥料を与えない)、無農薬(農薬を使用しない)を特徴とする農法ですが、自然農法の実践者であっても手法はさまざまです。
耕起や除草を許すかどうかに違いがありますが、自然の中で植物を生育しやすいように環境を作ってあげる、自然に任せるとはいえ、その種の産地に近い状態に環境を作ってあることが大切です。
例えば、トマトの場合、原産地は、南アメリカのアンデス高原地帯。日本とは全然環境の違うアンデスの環境に近づけます。方法としては、畝を高くすること。やせて荒れた水はけがよい土地が理想的なのです。
また、キュウリ、なす、ピーマンなどは東南アジアが原産国なので、畝を低めにしてあげます。
- 作物の原産地を見つけて、どのような環境で育つのか、畝の高い、低い また 水はけの良い、悪い場所をしっかり把握して、場所に合わせて、作物を選んで作ることが大切です。
2.土地の状態を知って見極めることが大切です。
水はけが良いか、悪いか・・。水はけが悪いとどんな野菜を作っても育ちません。
温度を測るだけで、土の状態がわかります。
だいたい20~30㎝の間に温度が低い層があります。
ガクッと下がるのが『硬盤層(肥毒層)』です。
この『硬盤層(肥毒層)』ができやすいのが、石灰層(セメントの材料)です。
アルカリが強すぎで、雨が降ったときに、なかなか抜けません。
※土の中の地温が大事
地温をいかに高く保つかが重要になってきます。
- 検査の仕方
穴を掘る。10㎝ごとに印をつける。その場所の温度を測定します。

3.根の状態を観る
追肥をする意味。
大麦、小麦、ライ麦をまくと、悪いものを吸収させ、土を浄化させます。
ただ、悪いものだけではなく、栄養分もとってしまうので、土が砂漠化してしまいます。
麦と一緒に大豆を植えることがポイントです。
大豆の根っこに根粒菌が付きます。自然栽培において、根粒菌を上手く使うことがポイントです。
植物が必要とする元素である 窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)の中の窒素分を補います。マメ科植物は自らの根っこに根粒菌というバクテリアをすまわせ、根粒菌に土壌の隙間(空気中)にある窒素をアンモニアに変えてもらい、それを養分として共生します。マメ科の植物は空気中の窒素を栄養源にできるため、窒素肥料なしで生育できるという特性があります。 これは「窒素固定」という仕組みです。
ゲーテの言葉にも
「雑草を植えなさい、大豆を植えなさい、麦を植えなさい。それを繰り返せば永久に食は続きます」とあります。
自然栽培・・耕作放棄地など
動物性の堆肥は、土の中で二次発酵します。
未熟堆肥の問題が起きています。
・未熟堆肥による生育不良
未熟堆肥の施用では、堆肥の分解が進んでなく炭素率が高い状態で畑に投入することになり、増殖した微生物が更に増殖するために、堆肥の窒素で補えない分を土壌の窒素で補おうとするため、 土壌の窒素飢餓が起こり作物の生育不良を起こします。
・未熟堆肥による生育障害
未熟の堆肥により有機物が土壌に入ると微生物が急増して、土壌の酸素を消費して有機物質を分解しますが、この結果土壌では酸素欠乏が起こり根に障害がおこり、微生物が好気性から嫌気性微生物に替わり生育阻害物質が生成されることになります。
未熟堆肥を施用すると土壌中で分解が急速に起こり無機態窒素(アンモニア態窒素)濃度が高まり、そこで作った作物も必然と硝酸態窒素(作物は硝酸態窒素として体内に取り入れる)の濃度が高まります。硝酸態窒素は、人間の体内に入ると血液が酸素を運ぶことを阻害する物質となります。また、発がん性との関連も疑われています。土壌のアンモニア態窒素は土壌の微生物の硝化作用を受けて硝酸態窒素に変化します。硝酸態窒素はマイナスイオンのため、雨や灌水により流亡し、流亡した窒素は地下水汚染の原因にもなります。このように過剰な窒素の施肥は人体にも環境にも悪影響を与えます。
- ブルーベイビー症候群
1956年のアメリカで、赤ん坊に裏ごししたホウレンソウを離乳食として与えたところ、赤ん坊の顔が真っ青になり、30分もしないうちに死亡に至った事件。
計278人の赤ん坊がこの中毒にかかり、その内39名が死亡した大惨事。
地下水汚染で硝酸性窒素が高濃度になった水を飲んで、赤ちゃんが青くなって死んでいくことがあったため、「ブルーベイビー症候群」と言われています。硝酸性窒素が、赤血球の活動を阻害するために起こる症状で、ヨーロッパやアメリカにおいて、家畜の糞尿により地下水が過度に硝酸性窒素によって汚染された場合に頻発した現象です。
ヨーロッパや国際機関では、「硝酸性窒素」に安全基準を設けています。
EUの基準ではほうれん草の場合、1kg当たり2500から3000㎎未満とされています。
★ 日本の野菜の硝酸性窒素含有量 ★(単位:mg/kg)出典:農林水産省HP
品目 厚労省データ
ほうれん草 3650±552
サラダ菜 5360±571
サラダほうれん草 189±233
春菊 4410±1450
結球レタス 634±143
ターツァイ 5760±1270
サニーレタス 1230±153
チンゲン菜 3150±1760
硝酸塩の危険な摂取量(一日当り)
(WHO 基準)
2.5g 以上で中毒 / 4.0g 以上で致死
*EU の安全基準
・・2000~2500ppm 以下
自然栽培の場合、ほとんどが500 ppm 以下となっています。
合鴨農法の合鴨の糞も未熟堆肥の問題とされています。
4.雑草が土をつくる。
雑草とうまく付き合うことが大切です。
雑草が土を作るのです。雑草の根に集まる根冠菌が土をつくります。それが大事なのです。時間はかかります。それは、今まで使ってきた肥料の量によって葉や根に来ている菌や微生物、バクテリア達が農薬に強い状態に変わっていて、これが農薬を散布しなくても、できる、守れる、そういうバクテリア達に変わっていくまでの時間が長いのです。それは品種改良をしすぎてきた経緯もあります。
土壌には多種多様な微生物が存在し、その数は1グラムの土壌に約100~1000万にもなるといわれています(表1)。
(表1)土壌微生物の生体量
| 種類 | 大きさ | 生体量 (kg/10a) | |
| 土壌微生物 | 細菌 (バクテリア) | 2~3μ程度 | 40~500 |
| 放線菌 | 菌糸の太さ0.5~1.0μ程度 | 40~500 | |
| 糸状菌 | 菌糸の太さ5~10μ程度 | 100~1,500 | |
| 藻類 | 肉眼では確認できないもの~数mm程度 | 1~50 | |
| 土壌動物 | 線虫 | 0.2~2.0mm程度 | 1~15 |
| ミミズ | 0.2~数cm程度 | 10~150 | |
土壌微生物は、自ら相手の微生物の生育を阻害する物質を生産し、スペースを取りあったり、エサを奪い合ったりしながら拮抗し、その一方で、お互いに共存するものもあり、増減を繰り返すことで種類と個体数のバランスを保っています。これが土壌微生物の多様性です。多様性を保つことは、良好な生育環境をつくる上で大切なことです。

根からの分泌物(糖・アミノ酸・ビタミンなど)は微生物のエサとなります。
微生物の分泌物や自身も植物の養分になったり、土中の養分を運んだりします。
そんな植物の有利になる微生物が根のまわりに住みつくと病原菌は寄りつくことができません。 ※根のまわりに住みつく微生物のことを根圏微生物といいます。
根の働きは主に土壌中の「高分子有機物・無機養分と水分の吸収」です。土壌から水分と水に溶けた状態の養分を吸収し、葉から呼吸された二酸化炭素、光合成で作られた炭水化物と合成してアミノ酸などに合成されながら地上部に送られて生長のために役立てられます。根はタンパク質を直接吸えないので、土壌微生物によってアミノ酸に分解されて根に吸われます。
連作障害の原因は、栄養バランスの問題や土の状態が悪くなる問題なども一因となるのですが、原因のほとんどは土壌中の生態系の崩壊が原因です。
だからこそ、たくさんの雑草を生やすことが必要です。
5.害虫対策
青虫の対策としては、酢やにら、ねぎが効果的とされています。
食用の酢を水で薄めて(300倍)洗うようにかけることで病害虫をかなり防げます。
コンパニオンプランツとは、共栄作物または共存作物とも呼び、農学、園芸学上の概念であると共に、近傍に栽培することで互いの成長によい影響を与え共栄しあうとされる植物のことを指します。
■一緒に植えておくと病害虫が発生しにくくなる植物
・バジルとトマト・・・トマトの生育を助け、味を良くする
・チャイブと 人参・・・アブラムシを防ぎニンジンの生育を助ける
・ニンニク or ラッキョウ or 玉ねぎとキュウリ・・つる割れ病を予防
・ニンニク or ラッキョウ or 玉ねぎと ナス or トマト・・・青枯れ病や立ち枯れ病を予防
・ミント類 or セージ or タイム or ローズマリー・・・モンシロチョウが嫌うので青虫を防ぐ効果がある
・ミント類 ・・・アブラムシを防ぐ効果がある
・ナスタチウム・・・アブラムシを防ぐ効果がある
・ニンニク・・・アブラムシを防ぐ効果がある
・マリーゴールド・・・マリーゴールドの強い香りがオンシツコナジラミやその他の害虫を防ぐ効果もあり、トマトやジャガイモ、マメ科などの生育を助ける
・ペチュニアとインゲン・・・マメ科植物の生育を助ける
■その他、相性の良い組み合わせ
・カモマイルとキャベツ or 玉ねぎ・・・成長を促進したり、味を良くする
・ローズマリーと豆 or 人参・・・成長を促進したり、味を良くする
・ミントとキャベツ・・・害虫を防ぐ
・コリアンダーと人参・・・害虫を防ぐ
・玉ねぎとイチゴ ・・・害虫を防ぐ
・ボリジとイチゴ ・・・益虫を誘う
・サボリーとインゲン豆・・・益虫を誘う
・チャイブとトマト・・・チャイブの根から出る分泌液で土中の微生物の動きを活発にし、活力ある土にする。その根でトマトの根を包み込むように植えつけると良い
・キャベツ or ブロッコリーとトマト
・キャベツとタイム
・キュウリとつるなしインゲン
・トウモロコシとカボチャ
・メロンとヒマワリ
・夏ネギと大根
・枝豆とナス or ピーマン or サトイモ
・シシトウガラシとニラ
・レタスと玉ねぎ
・つる性エンドウとホウレンソウ or 人参
6.水やりについて
水やりについてですが、ケースバイケースです。
マルチを使用するか否か、または、タネを直播きした場合のその後の天候などにもよります。また、雑草が朝露をためてくれるので、保湿や断熱の効果もあるのです。
7.土作りについて
赤土は強酸性なので菌がいません。そこで、注目する植物が、カヤです。
カヤは、ホウ酸を多く含んでいます。カヤが腐食して土に返ることにより中和します。ホウ酸はアルカリ性で、赤土の酸性土壌を中和する働きがあります。
このように、生えてくる雑草には全て意味があります。
表土の約10cmが黒土でその下は赤土になります。

※この土を再現してあるのが、自然栽培の再現になります。
なぜなら、生態系に答えがあります。
植物は、水に溶けた栄養でないと、根から吸収できません。
黒土→赤土→耕盤層の下に根っこが伸ばせると、栄養がたくさんあります。
4000年分のリン酸、カリウムがあります。
7.肥料について
なぜ肥料を与えなくてもいいのか?
※もしも、100の肥料を与えたら

8.自然栽培には、周囲の自然環境をしっかり観察すること、イメージすることが必要です。
土壌の力や作物の生命力を充分に引き出すこと。
具体的には、日当たり、風、土地の特徴、水はけ、斜面、周囲の様子を
よく見ることが大切です。
自然栽培といっても、放っておけばよいというわけではありません。自然を尊重し、自然に順応すること。周囲の自然環境をしっかり観察すること。それによって、土地や作物の性質、気候の変動などを判断できることが大切です。畑にはどんな雑草が生えているか? 雑草を見ても土壌の状態がわかります。
9.土の状態を判断する
畑は窒素補給を大豆の根に附いている根粒菌を活用します。根の周りから掘り起こし、根に附いている根粒菌の数を見ます。根粒菌がびっしりついていると窒素が安定しているので、肥料が少なくて済みます。根粒菌10個を目安にして10個以下であれば作物の側にもう大豆を植える必要はありません。根粒菌は土の中で10年働きます。大豆は3年間作付けします。
10.作付けの仕方
①
②①がダメな場合は

次の年に入れ替えていきます。
秋には麦、春にはライ麦を植える
麦を刈り取ったら、2~3年畑に戻さない
- 2~3年畑に戻さないことが無理な場合は、大豆の混植し、通路に雑草を生やし
ヘアリーベッチ(まめ助)を使用。緑肥効果があり、肥料の代替え利用、耕作放棄地などで雑草を抑制する作物として利用され、作物体中の窒素含量が高いことで使います。
土は、プランター栽培の場合、赤土10の上に鹿沼土1の割合でつくります。
1度、太陽の陽を当てて、土を乾かし、酸素呼吸をさせます。
地温をあげると好生菌が出来ます。好気性菌は、酸素呼吸しながら有機物を分解するタイプの菌で、酸素がないと生育できません。
その反対が、嫌気性菌です。
11.マルチを使う
夏野菜は、25℃以上を目安にします。
そこで、マルチと呼ばれるビニールシート使います。
マルチを畝に覆い被せます。地温を上げます。保湿保温効果に優れています。
また、雑草の生育防止効果があり、マルチの下には雑草が生えにくくなります。
また、雨による土の跳ね返りを防ぎ、ゲリラ豪雨の際には、雨水が浸透しにくくなります。
マルチにも、いろいろな種類があります。
育てる野菜や状況によって使い分けます。
黒マルチは、光を通しにくいので、雑草効果が高いです。
シルバーマルチは、光を反射する効果により、虫よけ効果があり、アブラムシなどがつきにくくなります。
透明マルチは、光を一番通すので、地温の上昇効果があります。オクラなどによいです。
一番いいのは、白黒のダブルシートだと言われています。表面白色の強い光線反射力と裏面の黒色のもつ光線透過抑止力により地温を下げ、高地温障害を防ぎます。最高地温で、「透明マルチ」、「黒マルチ」に比べ約6℃低下するそうです。
強い光反射で、作物基部や葉の裏側に光を補い、下葉の枯れ上りを防ぎます。
光線透過の抑制により、雑草の発生を抑えます。
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