「腸」が寿命のカギを握っているのとは・・・。確かに、脳が死んでも、人間は生き続けられますが、腸が死んだら、人は必ず死んでしまいます。人体の臓器の中で、最も老化しやすいと言われる「腸」の老化をおさえ、腸内環境を整えれば、「長生き」が可能になってきます。
私達の細胞の末端には、「テロメア」という小さな粒子が、存在します。このテロメアは寿命の回数券といわれ、上手く使えば、だれでも125歳まで元気に生きられると言われています。
免疫を高め、活性酸素の害を減らすと「テロメア」が短くならないことがわかってきました。免疫の
70%は腸が作っています。腸がよろこぶ野菜や豆腐、果物類は「フィトケミカル」という抗酸化物質が含まれていて、活性酸素を消してくれます。腸内環境を整えると免疫力が高まり、腸の喜ぶ野菜や豆腐、果物類を食べていると活性酸素の害が少なくなり、結果的に「テロメア」に作用して「テロメア」を短くさせないのです。
人間のテロメアの数は1万塩基対あり、病気を全くしないで、1年間過ごすと、50塩基短縮していきます。1万塩基対のテロメアが、毎年50塩基ずつ減っていくと、5000塩基対になるまで100年。つまり、人間は、生まれた時に100歳まで生きられるという寿命が最初からインプットされています。しかし、免疫を高め、活性酸素を抑える生活をしていくと「テロメア」の塩基対を減らす割合が少なくなり、年平均40塩基対まで、減少出来ることがわかってきました。つまり、125歳まで元気に生きられるというわけです。
- 老化とはどういうことなのか?
体から、水分やたんぱく質、コレステロールが抜け、あらゆる臓器の筋力が低下すると言うことです。例えば、皮膚から、水分が抜ければ、肌が乾燥し、潤いがなくなります。たん白質が抜ければ、ハリがなくなり、やがてシワになります。
最も大きな変化は、50歳を境に性ホルモンの分泌量がぐっと減ることです。
女性は、女性ホルモン、特に卵巣から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)が急激に減少することで、ホルモンバランスが崩れ、「更年期障害」と言われる様々な体調不良の症状が現れます。男性は、男性ホルモンが、20代をピークに減り始め40代になるとグンと減り、さらに50歳ぐらいになると「疲れがとれない」「やる気が起きない」「気持ちが沈む」といった症状が現れてきます。
もう一つの変化は、細胞の中のエンジンが切り替わることです。
私達の細胞には、「解糖エンジン」と「ミトコンドリアエンジン」があり、これらのエンジンを使って、エネルギーを作り出しています。歳を重ねても、二つのエンジンが作動することに変わりはありませんが、主体となるエンジンが50歳くらいで切り替わるのです。
■ 細胞の中のエンジンについて
「解糖エンジン」は、人類が誕生する以前、地球上に酸素がない時代に生きていた細菌が使っていた原始的なエンジンで、炭水化物などの糖を燃料としてエネルギーに変え、瞬発力のある動きをし、粘膜や骨髄などの細胞の材料を作ります。
「子作りのエンジン」とも言われ、32~36℃の低いところでしか働きません。
「ミトコンドリアエンジン」は地上に酸素が増え、酸素に基づく代謝を行う細菌を細胞の中に入れるようになりました。そのため、酸素を燃料としてエネルギーに変え、持続力のある動きをし、脳の神経細胞や心臓などの細胞へエネルギー供給しています。こちらのエンジンは、37℃で動くので、温めないと回りません。
私達の体は、50歳を境に、若い時は「解糖エンジン」がメインに働き、その後は「ミトコンドリアエンジン」がメインになります。
そのため、若いときは、炭水化物が重要なエネルギー源になりますが、50歳以降は、炭水化物は栄養にならず、むしろ老化を加速するなどの害が出てきます。
■ 50歳からの食事について
50歳を境に「ミトコンドリアエンジン」がメインになるので、食事の内容を見直す
必要があります。今、高齢者の「新型栄養失調」が増えています。
それは、「たんぱく質エネルギー栄養障害」とも呼ばれています。
私達の栄養状態を見るときは、血液中の「血清アルブミン」の値を測ります。
「血清アルブミン」とは、血液中のたん白質の役60%を占め、体の細胞の修復や再生に不可欠なたん白質です。その他にも、「血液の浸透圧を保つ」ことで、血液中の水分量が適度に保たれ、血液が体の隅々に行きわたることが出来ます。
また、脂肪酸やカルシウムなどのミネラル、酵素、ホルモンなどを結合し、
これらの物質を血管や筋肉、骨に届けます。
「血清アルブミン」が不足すれば、体のあちらこちらに必要な栄養が運ばれなくなり、
機能が正常に働かなくなります。
年齢とともにたんぱく質が抜けていく量が増えていくとすれば、これを補う必要があります。
それは、栄養で補うのが一番です。
高齢期に入る前の、「血清アルブミン値」をしっかりと把握しておくことが大切です。
4.3mg/dl以上であれば栄養状態は「良い」とされています。
「血清アルブミン」が不足しているということは、筋肉や骨を作る材料が届いていないということで、筋肉が作られていないので筋力が低下します。
また、骨を作る材料も届いていないので、骨がもろくなっていて、転んだ際に、骨折しやすくなります。
■ 健康長寿とは
日本は、世界最高の長寿国ですが、先進国の中では要介護の高齢者が断然多く、「長寿国」どころか「不健康長寿国」になっています。
百歳以上の高齢者を「百寿者」と言いますが、平成23年(2011年)の百寿者は4万7756人います。しかし、その百歳を前に、日本の高齢者は、百寿者数の100倍である、460万人が介護を受けています(2011年)
WHO(世界保健機関)は、平成12年(2000年)に、「健康寿命」という指標を提唱しました。これは、要介護状態になった機関を平均寿命から差し引いた期間を平均寿命から差し引いた数字です。
現在の、日本の状況は、男性の平均寿命は、約80歳ですが、健康寿命は、70歳。
女性は、平均寿命は86歳ですが、健康寿命は74歳で、共に10歳以上の開きがあります。
つまり、人生の最後の10年間は、「ピンピンころり」の願いもむなしく、要介護状態になり、誰かに面倒を見てもらいながら、あるいは寝たきりの状態で暮らしているということになります。
近年、「QOLの向上」が盛んに叫ばれていますが、単なる延命だけの治療より、いかに生活の質が向上するか、あるいは、それまでの生活の質を維持できるかに、重点が置かれるようになりました。
私達の長寿も、単なる「長生き」ではなく、介護を受けないで元気で長生きすることが求められているのです。
参照 「腸が寿命を決めている」:藤田紘一郎 著