最近、マウスモデルを用いた実験で、腸内環境の乱れが自閉症の発症に関与することが報告されました。
これは、乱れた腸内環境では、腸内細菌からある種の尿毒素と呼ばれる体に悪い代謝物質が作られ、それが腸から血中に移行し、全身に巡ることで、自閉症の症状が現れるようです。
この時、プロバイオティクスと呼ばれる善玉菌を摂取することで、腸のバリア機能が高まり、腸内で作られてしまった悪玉代謝物質の腸から血中への移行を防ぐことで、自閉症の症状を抑制できることもわかりました。
人の場合も以前から、臨床の現場では、腸内環境の乱れを伴った自閉症患者の場合、抗菌薬の投与でその症状がよくなったり、また食習慣でも症状がよくなったりするということが知られているようです。
マウスだけでなく、もしかすると人の場合も、ある種の自閉症には、腸内環境の改善が、その症状に効果があるかもしれません。こちらも、今後の研究成果に期待したいと思います。
また他にも、腸内細菌が作りだす代謝物質が、腸管の内分泌細胞に作用して、幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンの腸からの産出を促すことがわかってきました。
ここでも、腸内フローラが一役買っていたようです。
アレルギーと腸内フローラにも密接な関係があります。特定の抗原に対しても免疫システムが過剰に反応してしまうのがアレルギーです。

免疫システムというのは、外部から体の中に入ろうとする抗原を認識して攻撃し、排除することを目的にした仕組みです。
病原菌感染やウイルス感染から、体を守ってくれる仕組みです。
免疫細胞には、最初、自分たちの細胞を攻撃するものとしないものがあります。しかし、体内で、攻撃するものは淘汰され、しないものは生き残り、体に害を与える病原菌が外部から入るのを防ぐ役割をしています。
この新陳代謝の積み重ねによって、免疫システムが出来ていくのです。このシステムの構築には、腸内フローラが重要な働きをしています。
人間は食事をしなければ生きていけません。
しかし、食べ物は当然、抗原です。そのまま取り入れようとすると、体の中に入る際に、免疫細胞が攻撃してしまいます。そこで、口から消化管に入って攻撃しないようにするのが、「経口免疫寛容」
という特別なシステムが備わっています。

ある種の脳内細菌がいなかったり、腸内フローラの多様性が低かったりすると、経口免疫寛容が機能せず、アレルギー反応が起きてしまうことがわかってきました。
経口免疫寛容は、口から入ってきたものに限って、そのシステムが機能します。
目や鼻などの粘膜、皮膚から入ると免疫寛容システムが働かないので、アレルギーになってしまうのです。
参照:「お腹の調子がよくなる本」 福田 真嗣 著