腸内フローラのバランスを整えて、腸から脳へと刺激を伝え、脳機能を活性化できないだろうか?

腸内フローラは、人によって異なることは知られています。

 

個人差を生む原因は、日々の食事や薬の摂取状況、健康状態、生活環境、そして遺伝的なものが考えられます。

 

食文化や、食習慣が腸内フローラのタイプに大きく影響することが示されました。

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理想的な腸内フローラは、どんなバランスなのかというと、国によって、地域によって、極端なことを言えば、同じ家族でも違う可能性があります。

 

食生活が異なれば、腸内フローラも異なるからです。つまり、世界中の誰にとっても、理想とされる共通の腸内フローラバランスというものは、定義できないのです。

 

長い年月、野菜ばかり食べるベジタリアンの腸内には、肉を分解できる腸内細菌が減り、逆に野菜の食物繊維などを分解できる腸内細菌が増加するということが知られています。

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ベジタリアンの方が肉を食べると腸内細菌を崩してしまう場合がありますが、肉そのものが体に良くないのではなく、肉に対応できない腸内フローラが構築されてしまっているというわけです。

 

健康的な腸内フローラに絶対的なものはなく、人それぞれの食習慣によって異なるものなのです。

 

最先端テクノロジーを用いたメタゲノム解析により、腸内フローラの遺伝子を網羅的に調べることで、どのような腸内細菌がおなかの中にいるのかを知ることができ、さらに、メタボローム解析で、腸内フローラの本当の機能(どの細菌が何を作りだしているのかなど)を知ることが出来るようになってきました。

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お腹の中にどんな細菌が棲みつき、どのように動き、どんな物質を作るのかを知ることができれば、その結果をもとに、一人一人が病気の警戒をし、その病気を発症させないための食習慣や生活習慣を具体的に提案できる時代がやってきたのです。

 

体の中では、37兆個の細胞と100兆個の腸内細菌が密接に相互作用して、バランスを保ち生命活動を維持しています。

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腸内フローラと上手に共存できる人は、腸内フローラを自分でマネジメントし、心身の健康をコントロールすることが出来ます。

 

また、腸内フローラのコンディションは、腸だけではなく、全身のコンディションに深く関わっています。

その一つが脳です。脳と腸は迷走神経でつながっており、また、ホルモンでもやり取りをしていることから、腸は「第2の脳」とも呼ばれています。

 

マウス実験での話しですが、腸内フローラの存在が、脳機能の活性化につながっていることがわかってきました。

 

普通のマウスと、人工的に腸の中を無菌状態にして、飼育したマウスを比べてみると、無菌のマウスは、普通のマウスによりも落着きが無かったり、ストレスに弱かったりします。

 

脳の中の海馬や扁桃体という部位での、神経細胞や分列や増殖を促すホルモンの量が少なかったのです。海馬は記憶力を司る部位であり、扁桃体は情動反応やコミュニケーション等を司る部位です。

 

この無菌マウスに、普通のマウスの腸内フローラを移植すると、普通のマウスの行動パターンに近づくこともわかりました。

 

こうした研究結果から、腸内フローラのバランスを整えることによって、腸から脳へと刺激を伝え、脳機能を活性化できないだろうか?

 

これはまだ、マウス実験での話ですが、もし人間でも同じようなことが起きるとしたら、腸内フローラを良いバランスに維持できれば、記憶力が良くなって、成績が上がるかもしれません。

 

また、人と人との距離をはかる感覚も改善されて、人の感情や周囲の状況の変化を敏感に察知できる人になれるかもしれません。

 

今後の研究進展が期待されます。

 

 

参照:「お腹の調子がよくなる本」 福田 真嗣 著

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