腸管免疫を高めるには、消化と吸収を見直すことが大切です!!
腸管免疫は大変重要で、肥満、糖尿病、動脈硬化も腸内細菌のバランスが関係しています。
腸は、身体で最大のリンパ組織、免疫組織であり、身体を守っているリンパ球60%が集まっており、また、身体で最大の末梢神経組織で首から下の神経の50%が集まり、身体で最大の微小血管系で毛細血管などの小さな血管55%が集まっています。そして、身体で最大のホルモン産生組織でもあります。このように、腸は、ただ排便をコントロールするだけでなく、その働きは広範囲に及びます。
ここで、「消化と吸収」について考えていきましょう。
消化の第一歩は咀嚼と言われるように、消化器症状の訴えのある人の多くが口腔内の問題を抱えているという事実があると言われています。 また、腸は身体の真ん中に位置していますが、外(身体の外)ともつながっています。
身体と外を分けるバリアの役目をしているのは皮膚ですが、皮膚をいろいろな物が通過して来たらとんでもないことになってしまいます。このように、皮膚は優れたバリア機能を備えています。
一方、腸は、外から口を介して食べ物が入って来るという意味において、外とつながっているといえます。腸の中に入ったつもりで腸をよじ登ってみましょう。
まず、胃に出て、食道を登ると口に出て、さらに進むと外に出られます。このことから、腸は身体のど真ん中にあるけれど、実は外とつながっているといえるわけです。
吸収というのは、外から入って来たものを身体の大事な血管に入れてゆくということですが、腸での吸収の機能というのは、バリア機能が発達しているところであり、発達していないと何でもかんでも入って来て、大変なことになりますね。
腸の粘膜というのは、特に小腸はひだ状になっています。それは、仕事をする面積を広げるためといわれています。皮膚は、どんなに体の大きなヒトでも体表面積は、2平方メートル以内くらいですが、
そもそも小腸は6メートルほどあり、その面積を(ひだ状の部位も)すべて広げるとテニスコート1面分に相当すると言われています。つまり腸は、テニスコート1面分の面積を使って、良い物は摂りいれ、悪いものは入れないように、ざるの目のような働きをして“ふるい”にかける役割を担っています。 “ふるい”にかけるというのは、つまり、食べ物が腸に到達するまでの過程ということなので、非常に大事です。
物を食べると唾液が出ます。その唾液にはいろいろな機能がありますが、まずは消化の時アミラーゼという酵素がデンプンを分解する働きがあり、そこから消化の第一歩が始まります。
「咀嚼はひと口につき30回噛みましょう」というのは、ひとつにはまず消化の第一歩をしっかりとやっておかないと、その負担は胃にいき、胃がダメになると、全部腸にいってしまうということになります。「よく噛みましょう」というひとつの理由は、まず消化の第一歩をしっかりやろうと言う事なのです。ところが最近は、加工食品やジャンクフードなど、大体2回くらい噛めば、飲込めてしまうような食品が溢れているので、「よく噛む」ということが、腸内環境を整える最初の一歩だといえます。
次に、食べ物は胃に入って来ます。食道というのはあまり消化機能がなく食べ物の通り道です。
胃に食べ物が入って来たら、今度は胃酸やペプシノーゲンというような酵素が出て来て、消化の第二段階が始まります。
ところが、ピロリ菌(ヘリコバクターピロリ、日本人の2人に1人は持っている)がいると委縮性胃炎を進めてしまいガンのリスクがあります。ピロリ菌は血液検査で確認できるので、30代40代以上の方で調べたことのない方は一度検査した方が良いです。
ピロリ菌の影響としての慢性の委縮性胃炎を起しても、特に自覚症状の無い人もいます。委縮性胃炎というのは胃の細胞が痩せて、十分に酵素や胃酸が出せない状態になります。
すると消化機能が落ち消化不良という状態になります。それは、目的の小さな単位まで食べ物を分解できず、つまり、栄養を分解できずに、腸にすべてを託す、腸がすべてを担う、ということになってしまうのです。ピロリ菌がいなくても、胃の弱い方は、胃酸物質が足らないとか、酵素が出ないと言う方は消化不良になるので、負担はそのまま腸にいってしまいます。
ピロリ菌によって、胃酸分泌が低下すると、鉄やカルシウムの吸収を低下させたり、委縮性胃炎による内因子の欠乏はビタミンB12の吸収低下を起こし、また、消化不十分な蛋白質などが異物として認識され、遅発型フードアレルギーなどの要因になる可能性があります。胃酸は外から入って来る細菌やウィルスに対する生体のバリア機能の役割も果たしているため、感染に対する防御の減弱も起こります。ストレスの過剰で自律神経が交感神経優位になっても、胃酸や消化酵素は出づらくなります。
食後はやるべくリラックスを心掛けましょう。
胃酸を抑える薬を服用する場合、消化酵素と乳酸菌の併用がいいでしょう。
胃酸の分泌が低下すると、鉄やカルシウムの吸収が低下し、大事な栄養素が吸収できないため様々な不調をきたします。さらに、ビタミンB12の問題があります。胃を切除した人というのは絶対的にビタミンB12が吸収できないので、全摘した方をずっと放っておくとVB12が足らなくなって貧血になります。また、ビタミンB12の吸収低下で問題になるのは、ゆくゆく認知症や動脈硬化を進めることになります。胃が悪いから認知症になる、というのは飛躍し過ぎではあるものの、その間にはたくさんのステップがあるとはいえ、胃が悪い人は認知症になりやすいというは、遠回しには言えることだそうです。
そう考えると、ただの胃もたれを、ちょっとしたコトと思わないことが大切です。なぜなら、こうした栄養素が足らない状態が1日2日なら何でもないことかもしれませんが、それが、1年、5年、
10年、20年と続けば、足りている自分と、足りていない自分の20年後は全く違った姿になって来るということは意識しておく必要があります。
そもそも胃酸はpHが低く、これは外から入って来るバイ菌やウィルスをやっつけ、それ以上進ませないという役割があり、これも1つのバリア機能となります。
胃酸の役目がしっかり果たされていないと、感染に対する防御の減弱が起き、カビや悪玉菌などが腸にはびこる可能性が起きてしまいます。何気なくモノを食べていますが、身体の中ではもの凄い働きがあり、食事を一回するだけで大変なエネルギーを消耗している。ましてや、1日三食ならその度にもの凄いエネルギーを消耗しているので、それだけでも身体にとってはいろいろと負担にはなっています。
また、ピロリ菌以外で胃の消化機能を落してしまうものに、ストレスがあります。
ストレスの多い人は消化酵素の分泌が悪く、誰が見てもストレスがあると思う人は、間違いなく交感神経優位な状態なので、胃酸や消化酵素の分泌が悪く、消化が不十分であることをまずは自覚することです。消化酵素や乳酸菌をしっかり摂るなど、その後にかかる「腸への負担をいかに軽くするか」について取り組むことが大切です。
そして、いよいよ、食べ物が腸に入って来ます。
この段階で、もの凄く消化の良い方は、たんぱく質だったらアミノ酸まで分解されていて、きちんと吸収しやすい状態になっていますが、よく噛まない人や唾液分泌の悪い人、胃の調子が良くない、または、抗生物質を飲んでいるとか、ピロリ菌がいるなど、様々な理由で消化が不十分なまま食べ物が小腸まで来てしまうと、小腸が大変なことになってしまいます。
小腸についてみてみましょう。小腸は長さ6メートルを超える管で、消化管の約80%を占める。小腸の粘膜からは消化酵素が分泌され、アミノ酸、ブドウ糖、グリセリド、脂肪酸などの最終的な分解物に消化し、吸収と弛緩を繰り返し、移動させながら吸収します。
私達が、普段検査しているのは、胃カメラや大腸カメラなので、小腸は見ていません。
見ていない1つの理由は、小腸のガン(小腸腫瘍)というものが、あまりないからです。
小腸は非常に長く、手技的にも困難であるうえ画像的に評価しづらい場所ですし、大腸や胃と比べると検査しなくても良いと言える場所かも知れません。小腸は、形態学的な変化があまりないとは言うものの、機能的な評価は絶対的にしなくてはならない場所です。つまり、消化器として機能しているかどうかはもの凄く重要なことです。ただ、今の医療の中でその機能を、これをみればすべてわかるというような検査項目はありません。現在の医療の現場では、自覚症状でなんとかコントロールしようとしているのが実情です。カプセル状のカメラを飲み込み、お尻から出し、そのカメラの画像を解析して小腸の中を見る事は技術的には可能になっていますが、中を見てもわからない機能的な問題が、実は今、もの凄く重要だと言われています。
ここで、リーキーガット症候群の説明をします。リーキーガット症候群とは腸のバリアの炎症や損傷によって腸に穴が開いたような状態になる症状です。
原因は、加齢、ストレス、薬剤、感染(細菌、かび)、乳製品、有害重金属、食物抗原などが考えられます。またフードアレルギーから、免疫系の異常が起きて、自己免疫疾患を起こす場合もあります。
小腸の粘膜というのは、身体に良いものを取り入れて、悪いものは入れないという「門番」の役目をしています。例えば、ざるの目があったら、通って良いものだけを通す、ダメなものは通さない、という働きをしているのが、ざるの目が粗くなり、何でもかんでも身体に入って来てしまうような状態になってしまうのを「リーキーガット症候群」と言います。原因は多岐に及びます。いわゆる現代病のようなもので、腸のバリア機能が破綻して、例えれば、ザルの目が粗くなり何でも入って来るようなイメージなので、ホントに穴が開いているわけではありません。
リーキーガット症候群があると、悪いものがどんどん入って来るだけではなく、何故か良いものが入って来なくなる。これはつまり最悪の状態になっていると言えます。
なぜなら、特殊な食物アレルギーや自己免疫疾患が起こりやすくなるからです。
リーキーガット症候群の原因として、ストレス、・加齢、抗生物質の乱用、アルコール類、カフェインなどの刺激物過剰摂取、着色剤、防腐剤、酸化防止剤などの食品添加物、酵素欠乏、・薬剤(ステロイド)、・精製食品の摂取が考えられます。実際に、どういうことが起こるとざるの目が粗くなるなり、門番の役割が上手く行かなくなるかというと、まずは「ストレス」。消化機能が落ち、腸に負担がかかるようなものが来ることで腸がダメージを受けます。また、「加齢」にともなっても生じてきます。
風邪気味だからと、すぐ病院で抗生物質をもらい内服する人は、腸内細菌のバランスを崩し腸粘膜の健康を保ちにくくなります。
過剰なアルコールとカフェイン。(過剰というのは、コーヒーなら1日10杯程度)。コーヒーのカフェインはマイナスイメージがありますが、実はコーヒーは腸に良いもので、1日4~5杯飲む程度であれば、女性の場合大腸がんの予防効果があるという研究データもあります。
酵素が足らなくてもリーキーガット症候群のような状態になりますし、ステロイドや痛み止めもリーキーガット症候群の原因になると言われています。しかし、残念なことに、リーキーガット症候群のような状態は、病院では絶対に診断がつきません。
・腸内環境を整えるための5つのR (アメリカの機能生理学会で提唱されている項目)があります。
▼5つのR
①Remove(除去)・・・有害なものを除去する
②Replace(補充)・・・消化酵素を補充する
③Repopulate(再定着)・・・善玉菌を再定着させる
④Repair(修復)・・・腸管の修復をする。実はダメージを受けている人は多い。
⑤Re-balance(バランス)・・・バランスを取り戻す
注)英語での「R」です。
- 腸内環境にとって『悪いもの』を『除去』
・食品添加物
・(遅発型)アレルギー食品
・有害物質(環境ホルモン、有害重金属など)
・悪玉菌
・栄養バランスの悪い食生活
・ストレス
・病気
・老化
・病原菌の侵入
・抗生物質の服用
などがある方は間違いなく腸の環境が悪いので、まずはここを直して行くことが重要です。
- 消化酵素を『補充』し、しっかりと消化・吸収させる。
体調不良、加齢、ストレスにより、消化酵素の産生、分泌が低下(ピロリ菌・委縮性胃炎)し、
有害(悪玉)菌による未消化食物の異常発酵が起き、消化管の負担が増大となります。
いろいろな理由(ピロリ菌、ストレス、加齢)で消化酵素の分泌が低下すると、悪玉菌による未消化の食物の異常発酵がおきたり、有害なものや未消化の食物が腸粘膜にダメージを与えるなどして消化管の負担が大きくなるので、しっかりと消化酵素を補充し、消化機能を高めることが腸に対してガンを減らしたりする最大のポイントです。
- 腸内善玉菌をしっかりと保つ
・プロバイオティクス
腸内細菌のバランスを整え、腸内の異常状態を改善するものです。
※その微生物を含む食品自体(ヨーグルトや乳製品など)をプロバイオティクスと呼ぶこともある。
・プレバイオティクス
プロバイオティクスの働きを助ける物質のこと (腸内で消化され、オリゴ糖や食物繊維などがその代表的なもの)です。
胃酸で分解、吸収されず、腸内プロバイオティクスのエサになり、善玉菌だけを増やす(悪玉菌は増やさない)という特徴を持っています。
腸内の細菌のバランス…乳酸菌のサプリメントもありますが、プロバイオティクスとプレバイオティクスの両方をしっかとり摂ることが大事です。
では、善玉菌は何で摂るかですが、お腹の為にヨーグルトを毎日摂っている方もいらっしゃいますが、動物性の発酵食品(乳製品)を摂ると、思わぬアレルギー反応が出ることがあります。
例えば、ヨーグルトを食べている時に蕁麻疹がでたり、ワーッと呼吸困難になる(即時型フードアレルギー)などではなく、数時間~数日後に何となく不調を感じる。この不調が毎日だと慢性的な症状となり、あまり感じなくなります。つまり、ヨーグルトを食べたから何か変わったかと言っても何も感じない、そういう潜在的なアレルギー反応が、遅発型フードアレルギーということが、最近わかってきました。
乳製品が日常化して普及したのは、たかだか50年ほどです。ヨーグルトは多くの人にその反応が出やすく、実は受け付けない人が多いというのも現状ですので、出来れば植物性の発酵食品で善玉菌を摂るよう心掛けると安心で間違いが少ないです。納豆や味噌や漬物やキムチなどの方が我々日本人の身体は受け付けやすくできています。日本人の場合、動物性乳酸菌を日常的に撮り続けると遅発型フードアレルギーの原因となるので注意することが必要です。
プレバイオティクスはオリゴ糖とか食物繊維とかネバネバしたもので、乳酸菌や善玉菌のエサになるので積極的に摂りましょう。
- 腸粘膜を『修復』してバリア機能を強化
・消化管粘膜は、皮膚の組織と同じく身体の内部と外部を仕切るバリアとしての機能を持ちます。
・消化管粘膜の細胞はターンオーバーが早く、3日~5日です。
・修復の栄養素として、ビタミンA、C、D、亜鉛、たんぱく質があげられます。
・腸管のエネルギーになる栄養素は、グルタミン
・粘膜の修復に必要な栄養素は、フォスファチジルコリン(レシチン)
・抗炎症作用にある栄養素:EPA、γリノレン酸、クルクミンなど
消化管粘膜を修復してバリア機能を強化するということは、実はこれがもの凄く難しい事です。
人間の細胞は60兆個あり、その細胞の中で、いまこの瞬間から1人の身体の全体の細胞が生まれ変わるには数か月かかります。細胞には、数か月かかって初めて生まれ変わる細胞もあれば、数週間で生まれ変わるものあり、また、数日で生まれ変わるものもあります。
60兆個の細胞の中で最も早く生まれ変わる細胞が腸の粘膜の細胞で、大体3日くらいで変わりますが、それは、そのくらい重い仕事を担っているということです。
お腹の調子やお通じの良し悪しということだけではなく、しょっちゅう、生まれ変わる粘膜細胞の機
能が正常であるかどうかは、非常に重要です。お腹の調子が悪いという自覚がなくても、お腹の機能が落ちてしまうと、ガンやアルツハイマー病や糖尿病にもかかりやすくなり、また、肥満にもなりやすくなるといことがわかっています。
腸管の粘膜の修復には、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、脂肪酸など、ありとあらゆる栄養が必要です。結局、リーキーガット症候群のようになってしまうと、その大事な栄養素が入ってこなくなり、なおさら治りにくいということになりますが、一生懸命、こうした栄養素を摂らないと良くならないので、結局は、薬で治すというより栄養で治すしかありません。食事はもの凄く大事であるということです。良くするのも悪くするのも、どちらも食事です。腸内環境にとって悪いものをみてみると、添加物、アレルギー食品、栄養のバランスの悪い食生活、かなり食事由来のものが多いのがわかります。自分にあった良い食生活をしているか、自分にあっていない悪い食生活をするかで、健康はもの凄く変わります。
- 体全体のバランスを取り戻すには、正しい生活習慣を取り戻すことが大切です。
心と体のバランス、栄養のバランス、ストレスバランスなど、自律神経バランスや心や身体のバランスなどが整っていないと腸の環境は良くなり難いということが言えます。
(2015/06/28aaf協会「もっと腸内フローラ」1澤登雅一先生 講座より)