細胞は常に生まれ変わっている。
私達の身体では、細胞を作っている物質が常に生まれ変わっています。しかし、その入れ替わりによって細胞のかたちが変わることはありません。川の流れを思い浮かべてみると、川はいつも同じ流れのように見えますが、そこに流れている水は常に入れ替わっており、一瞬として同じ水が流れていることはありません。常に水が入れ替わりながら、同じように見えているのです。こうした状態を「動的平衡」が保たれていると言いますが、細胞でも全く同じことが起きています。
例えば、脳の神経細胞で考えてみると、神経細胞は、体内にいるときから作られ始め、生後2歳くらいまでの間に急速に数を増やしていきます。脳自体も大きくなっていくわけですが、それも6歳くらいがピークで、その後の数は減っていくとされています。

その神経細胞の膜を作っているのは、脂肪やたんぱく質、コリン、セリンなどの物質ですが、細胞がつくられてから、ずっと、それらの物質は入れ替わりを繰り返しています。例えば、DHA(ドコサヘキサエン酸)には記憶力を高める効果があると言われています。
そのメカニズムは、魚の脂を摂りつづけていると、だんだん細胞膜をつくっている脂が、その魚の脂に置き換えられるようになり、その結果、細胞の機能が上がり、記憶力がアップするということにもつながっていくのです。逆に悪い脂ばかりとっていれば、細胞膜の脂も悪いものになり、細胞の機能は低下することにもなります。入れ替わる物質の“質”を上げることが大切なのです。
図:老化とアンチエイジングの関係
細胞膜も細胞も、それをつくる物質は食べ物(栄養)から供給されます。供給された栄養は、分解(異化)され、必要なところで使われて、排泄されます。
しかし、その流れとは別に、使われた後に再び合成される(同化)という流れもあります。子供の頃は夏に出来た日焼けも秋の終わりには、消えはじめ、冬には元通りになりますが、大人になると、日焼けが消えにくくなるだけではなく、特に色素沈着やシミとなって長期間残るようになります。新しい皮膚をつくり、元の肌色になる過程も、再合成(同化)ということができます。
この「異化」と「同化」のバランスが重要です。両者のあいだには、こんな相関関係が成立します。
・同化と異化がイコールであれば、細胞の「機能は一定」
・同化が異化を下回れば「機能は低下する」
・同化が異化を上回れば「機能は高まる」
つまり、同化と異化を同じレベルに保てば、細胞の機能は一定の状態に保たれるわけではないので、老化は防止出来ますし、同化が異化を上回る状態に持って行けば、細胞の機能は上がり、アンチエイジングが可能になります。
同化のパワーを高めるには良い栄養を充分とる以外はありません。
出典: 溝口 徹:「脳の栄養不足」が老化を早める/ 青春出版社




