2016.4.15 日本アンチエイジングフード協会オープンセミナー
「腸内フローラから読み解く腸の力」~臨床の現場はすごかった~
三番町ごきげんクリニック 澤登 雅一 先生
■腸年齢チェック
・いきまないと出ないことが多い
・便が硬くて出にくい
・便の色が黒っぽい
・出た便が便器の底に沈みがち
・排便後も便が残っている気がする
・ころころした便が出る
・時々便がゆるくなる
・便が臭いまたは臭いと言われる
・トイレに行く時間が決まっていない
・おならが臭い、または臭いと言われる
・タバコを吸う
・顔色が悪く老けて見られる
・肌荒れや吹き出物が多い
・運動不足が気になる
・寝つきが悪く寝不足気味
・ストレスをいつも感じる
・朝は食べないことが多い
・朝食は慌ただしく短時間
・食事の時間は決まっていない
・野菜不足だと感じる
・肉が大好き
・ヨーグルトなどの発酵食品が苦手
・外食は週4回以上
■結果
・15個以上→腸年齢は+30歳。腸内は悪玉菌の巣窟、これ以上ない劣悪環境
・10~14個→腸年齢は+20歳。老化は崖を落ちるがごとし。
・5~9個→腸年齢は+10歳。老いが全身に広がりつつあり、ぎりぎりの崖っぷち
・1~4個→腸年齢は+0~5歳。今のところは問題ないが、油断は禁物。
・0個→腸年齢は実年齢より若い。文句なし。
- Gut Brain Connection 腸脳接続
神経・ホルモン・サイトカインで密接につながっている
・「ヒトの身体で最大のリンパ組織、免疫組織」…ヒトの身体を守っているリンパ球の60%が集まる。
・「ヒトの身体で最大の末梢神経組織」…首から下の神経50%が集まる。
・「ヒトの身体で最大の微小血管系」…毛細血管などの小さな血管の55%が集まる。
・「ヒトの身体で最大のホルモン産生組織」
など
■腸を語るときには、「消化と吸収」を理解しないといけない。
▼消化の第一歩は咀嚼。
消化器症状の訴えのある人の多くが口腔内の問題を抱えている。
(歯がない、入れ歯が合わない、アマルガムがある・・・)
いろんな要因が絡んでおり、単にどんな食事をとるかだけでなくよく噛んで食べているか、
胃酸の出る状態が正常であるかなども関係している。
・ものをよく噛む…咀嚼はひと口につき30回噛むというのは、まず消化の第一歩。
そこがちゃんと出来ていないと、その負担は胃に行き、胃もダメだとこれが全部腸に行ってしまう。
腸内環境を整える最初の一歩。早食いの人は、口腔内の常在菌が腸まで行ってしまい、それが悪玉菌を
優位にさせる材料になる。
唾液にはいろいろな機能がある。まずは消化の時アミラーゼという酵素がデンプンを分解する働きがあり、 そこから消化の第一歩が始まる。
▼唾液の役割
・消化作用
唾液中の消化酵素であるアミラーゼは、デンプンを分解する。
・粘膜保護作用
唾液にはムチンというタンパク質が含まれていて、硬いものと口の粘膜が接触しても傷つかないように、
粘膜をコーティングしている。(唾液のムチンは、食塊の形成、摂食、嚥下に重要な働きがある)
・抗菌、自浄作用
唾液中のラクトペルオキシターゼやラクトフェリンと呼ばれる抗菌物質は、口腔内の細菌を除去する。
・潤滑作用
潤滑油のような働きがある
・中和作用
唾液には、飲食後に酸性になったお口を中性に戻そうとする作用。虫歯のリスクを減らす。
・修復作用
など
- 食道
消化機能がなく食べ物の通り道。
胃にモノが入って来たら、胃酸やペプシノーゲンというような酵素が出て来て、第二の消化が始まる。
▼ピロリ菌の影響
・胃酸分泌の低下は、鉄やカルシウムの吸収を低下させたり、委縮性胃炎による内因子の欠乏はビタミンB12の吸収低下を起こす。
・消化不十分な蛋白質などが異物として認識され、遅発型フードアレルギーなどの要因になる可能性がある。
・胃酸は外から入って来る細菌やウィルスに対する生体のバリア機能の役割も果たしているため、感染に対する防御の減弱も起こる。バリア機能の低下によって、消化力も低下する。
・胃酸を抑える薬を服用する場合、消化酵素と乳酸菌を併用する。
※ピロリ菌がいると委縮性胃炎を進めてしまいガンのリスクになるが、除菌すると腸内フローラに
ダメージを与えることが多い。
※ピロリ菌を除菌する前には、善玉菌をためておくことが大切。
▼ストレスの過剰
ストレスの過剰で自律神経が交感神経優位になっても、胃酸や消化酵素は出づらくなる。
⇒食後はやるべくリラックスを心掛ける。
- 胃の消化機能を落してしまうものは、
- ピロリ菌
- 胃薬
- ストレス
- 水素水(食後はダメ) 他には、アルカリイオン水
※消化を助けるには
- 咀嚼(ひと口につき30回噛)
- 食事の前に少し苦いものを食べる(パセリ、パクチー、クレソン、大根おろし)
胃酸を抑える薬を服用する場合、消化酵素と乳酸菌の併用がいい。
▼胃酸分泌のセルフチェック
100%のレモン果汁スプーン1杯を水で10倍に薄める
↓
夕食時に、1口食事を食べたらレモン水を1口飲む
↓レモン水がなくなるまで繰り返す。
(解釈)
食後、2~3時間で、胃が重く不快感がある人は、胃酸分泌は十分
いつもよりスッキリした感覚、あるいは空腹感がある人は胃酸分泌が不足
▼胃酸のPHがアルカリ性に傾くと
・ミネラルの吸収が低下する
鉄、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、銅など
・ビタミンの吸収が低下する
葉酸、ビタミンB12、ビタミンB1/B2/B6、ビタミンAなど
・タンパク質の吸収が低下する
・脂質の吸収が低下する
■小腸について
小腸は非常に長く、手技的にも困難であるうえ画像的に評価しづらい場所。
大腸や胃と比べると検査しなくても良いと言える場所かも知れませんが、小腸は、形態学的な変化があまりないとは言うものの、機能的な評価は絶対的にしなくてはならない場所。
▼小腸は長さ6メートルを超える管で、消化管の約80%を占める。小腸の粘膜からは消化酵素が分泌され、アミノ酸、ブドウ糖、グリセリド、脂肪酸などの最終的な分解物に消化し、吸収と弛緩を繰り返し、移動させながら吸収する。
- SIBO (Smaii intestinal BacteriaL Overgrowth)
小腸細菌異常増殖症候群
原因:腸の解剖学的変化、消化管運動の変化、または胃酸分泌の不足
小腸憩室症、外科的盲係蹄、胃切除後状態 (特に、ピルロートⅡの輸入脚)狭窄、部分閉塞、医薬品(ステロイドなど)
症状:ガスの過剰発生、腹部膨満感、下痢、便秘、腹痛
体重減少、疲れ、倦怠感、栄養障害(脂肪、コレステロール、たんぱく質、炭水化物、脂溶性ビタミン、ビタミンB12不足)
診断:腸吸引液の定量培養
14C-キシロース呼気試験
治療:抗生物質を10~14日間経口投与する。経験的療法には、テトラサイクリン、アモキシシリン/クラブラン酸、セファレキシンなど
▼SIBOの病態
グラム陰性桿菌の増殖
↓
鉄、亜鉛、銅、ナイアシンを奪われてしまう。
↓
小腸における異常発酵
↓
腹部膨満感・ガス
- Leaky Gut Syndrome
腸管浸漏症候群
原因:加齢、ストレス、薬剤、乳製品、感染(細菌、かび)、食物抗原、有害重金属など
- IBS(過敏性腸症群)
・便秘型
便意があっても便がでないか、出ても固い便が少しだけ。
腸の蠕動運動が低下していて、内容物が運搬されない状態。
・下痢型
慢性の下痢が続く。腹痛を伴うことも多い。
ちょっとした緊張や、食事をきっかけで起こる。
1日に何度も起こることがある。
・混合型
・その他 上記に分類されないタイプ
蠕動運動の更新・低下にはセロトニンが重要
セロトニンをコントロールすることで、症状改善が可能(セロトニン3受容体拮抗薬)
- 腸内細菌(細菌叢)
腸内細菌は、1000種類以上あると言われており、人間の腸には合計で1000兆個もの膨大な腸内細菌が棲んでいます。その重さはすべてあわせると1.5㎏になる。
ヒトゲノム計画 遺伝子は2万数千しかなかった。(当初の予測では、10万個)
腸内細菌が持つ遺伝子は約50万個
宿主(ヒト)は腸内細菌に多くの機能を託している。
▼腸内細菌(細菌叢)の分類
腸内細菌は、善玉菌と悪玉菌と日和見菌、病原菌に分けられます。
善玉菌の中には、病原性大腸菌の感染を防ぐはず。しかし、できないビフィズス菌もいる。
悪玉菌とされるクロストリジウム菌の中には、免疫細胞の分化を促す酪酸を産出するものがある。
▼Dysbiosis(腸内細菌の構成異常)
Dysbiosis・・・「悪性細菌症」「腸環境異常」「腸内菌共生バランス失調」とよばれている
多様化の消失→機能不全
自己免疫疾患、アレルギー、肥満、糖尿病、動脈硬化、肝硬変、肝臓がん、自閉症など
様々な疾患と関連している。
■腸内細菌(細菌叢)の分類
理想的な腸内フローラは個々で異なる
どんな菌がいるか
それらの菌がどのような代謝物質を作りだしているか。
■ヒトマイクロクトバイオームプロジェクト(HMP)
次世代シークエンサーによる解析→健康人の遺伝子カタログの作製
疾患に関連したマイクロバイオーム(炎症性疾患、糖尿病など)
■Meta Hitp roject
健康人の腸内細菌遺伝子カタログの制作
エンテロタイプ= 腸内細菌による分類
バクテロイデスタイプ 肉食が中心の食生活を送る国に多く、欧米に多い
プロボテラタイプ 小麦やトウモロコシなど主に炭水化物(雑穀)を中心にした食生活を送る国に多く、 アフリカなど原住民に多い
ルミコッカスタイプ 上記の中間
日本人には、ルミコッカス、バクテロイデスが多い。
■Dysbiosis(腸内細菌の構成異常)
・健常者は、バクテロイデス門、ファーマキューテス門で80%を占める
・疾患があると(特にIBS)、バクテロイデス、ファーマキューテスが減っている。
・多様性が消失(=単純化)している。遺伝指数が25%くらいに減ってしまっている。種類が800くらいに、
遺伝子は40万くらいに減少している。
■Dysbiosisは疾患の原因か結果か?
疾患の原因になりうる。大腸の炎症性疾患や肥満など。
■Dysbiosisの原因
・高脂肪食
・低繊維食
・低栄養食
・単一食
・長期入院
・高齢者
・抗生物質
・炎症
・時差ボケ
■Dysbiosis(腸内細菌の構成異常)
対策)プロバイオティックス(乳酸菌・ビフィズス菌)単一菌では効果不十分
便移植(腸内細菌移植)、幼少期の腸内細菌が多様性だとアレルギーになりにくい。
■Dysbiosis(腸内細菌の構成異常)
腸内細菌のバランスは長期的な食生活によって変わる。
例えば、ベジタリアンの腸内細菌は野菜を分解する菌が優位になる
■海藻の効果
水溶性・不溶性の食物繊維を豊富に含む。
腸内細菌は食物繊維から短鎖脂肪酸を作り出す。
日本人のバクテロイデス・プロピウスのみが海藻を分解する遺伝子を持っている。
■腸内細菌叢移植
健常者の正常な腸管細菌をそのまま患者の腸内に移植することで、腸内細菌バランスを正常に戻そうという治療
法で、多くの腸疾患、便秘、肥満などに効果があることが示されている。
偽膜性腸炎の原因となるクロストリジウム・ディフィシル感染症に対しての、有効性が報告されている。
日本では、慶應義塾大学のグループが、難治性潰瘍性大腸炎や腸管ベーチェットなどに対する便移植の効果に関
する臨床試験を開始。
■腸内細菌と疾患
▼腸内細菌と動脈硬化
食品中に含まれるフォスファチジルコリンが、腸内細菌によりトリメチルアミンNに分解され、更に、トリメチ
ルアミン-N-オキシド(TMAO)に代謝される。TMAOは粥状動脈硬化を進展させる。コリンは赤身の肉に多く含ま
れる。
これは、食品中に含まれるある成分が腸内細菌(TMAO)によって代謝されて、そのTMAOがいわゆるプラークを
作るような動脈硬化を進展させる働きがある、ということがわかっている。
動脈硬化のある方は、コリン…赤身の肉の摂り方を考えた方がよい。
▼腸内細菌と肥満
腸内細菌の乱れが短鎖脂肪酸を生成する細菌の減少
↓
宿主のエネルギー吸収効率が変化
↓
脂肪蓄積が促進され
↓
肥満
肥満者ではファーミキュティス(グラム陽性細菌)が多くパクテロイデスが減少していた。
肥満も腸内細菌のバランスが関係している。
善玉菌の数が少なくなる(短鎖脂肪酸という酪酸を生成する働きが減って来る)と、宿主(ヒト)のエネルギーの吸
収効率が変化して脂肪の蓄積が進み肥満が起きることがわかっている。
↓
ひとつの研究の結果では、ファミキューティスというグループの菌が多くて、バクテロイデスが少ない、という
ことが言われています。
▼腸内細菌と糖尿病
腸内細菌の乱れが糖尿病を起す
↓
ある種の腸内細菌がGLP-1の分泌を促す
↓
インスリン分泌促進
↓
血糖降下
糖尿病も同じく言われているのが、ある種の腸内細菌がGLT-1と言う物質を分泌し、インスリンの分泌を促進す
るため、血糖値を下げる働きが強化される。糖尿病の人はその菌が少ない、ということもわかっている。
▼腸内細菌と肝臓がん
高脂肪食
↓
腸内細菌による二次胆汁酸の産出
↓
肝臓がん
▼腸内細菌と大腸がん
大腸がん患者には、口腔内常在菌の fusobacterium nucleatumが定着している。
※(Fusobacterium nucleatum(F.n.)は、線状の長いグラム陰性嫌気性菌で、デンタルプラークなどでは大きな
体積比率で存在しています。ヒトの口腔内に常在 し、菌の両端が尖って中心部がやや太いことから紡錘菌とも
言われます。F.n. は、歯周病原性菌の1つで、デンタルプラーク形成に中心的役割を担って い て、他の細菌と
共凝集することによりバイオフィルムを形成します。)
除菌による予防の可能性?
■PPIの問題
「Proton pump inhibitor(略称:PPI)」
プロトンポンプ阻害薬は胃酸分泌抑制薬と呼ばれる種類の薬で、酸抑制効果に優れており、胃腸障害全般に処方
される薬。
胃の分泌線にある壁細胞には、胃酸を分泌するプロトンポンプという部分がある。
プロトンポンプ阻害薬は、このプロトンポンプが胃酸を分泌する働きを妨げる作用をし、胃酸の分泌過多をコン
トロールして、胃のむかつきや不快感といった症状を抑える。
▼PPIの問題 認知症リスク
プロトンポンプ阻害薬(PPI)の使用が認知機能低下に関係する可能性。
高齢PPI使用者7万人以上を対象。
PPI使用群では、非使用群に比べて認知症発症リスクが1.4倍優位に高かった。
▼PPIの問題 潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎患者にはPPI使用者が多いというデータがある。
▼PPIの問題 腸内フローラへの影響
本来、胃内の強力な酸によって殺菌されるべき細菌が小腸以遠に到達する
口腔内常在菌・クレブシエラ・ニューモニエ etc
PPI長期使用による過敏性腸症候群の発症。
PPI使用者の儀膜性腸炎の可能性。
■口腔内常在菌
dysbiosisがあると腸内に定着する。
炎症性腸疾患、肝硬変、大腸ガン患者によく見られる。
- 自分の腸内環境を知る
1.腸内環境に問題がある例
遅延型アレルギー検査
2.腸内環境バランス
▼バクテロイデスタイプ
▼プレボテラ/バクテロイデスタイプ
▼善玉菌が少ないタイプ
▼良好タイプ
▼ビフィズス菌と乳酸菌の違い
▼腸内通過時間(BTT)
食べた食物が便となって排泄されるまでにかかる時間(腸内を移動する時間)。健常者平均20時間。
多くの人が30時間以上かかっている。
口 1分
食道 数秒
胃 3-4時間
小腸 3-5時間
大腸 10時間-数日
BTTが長いと、多くの疾患の原因となる。
▼腸内通過時間(BTT)と便の性状
▼腸内通過時間(BTT)測定方法
・放射線同位元素の入ったカプセルを内服し、定期的にX線検査をする
・食用炭を用いる
朝食後3時間で食用炭5gを水に溶かして一気に飲む。その後の便を観察し、便が黒くなってくる時間を
測定する。黒ごまで代用も可能。30g噛まずに飲む
(結果の解釈)
・10時間以内に出てきた場合、小腸以降の蠕動運動が早すぎ、吸収不良になっている可能性あり。
・12-24時間が最適。
・24時間以上かかる場合は、蠕動運動が弱く、有害物質が腸内に長く滞留していることになる。
社)日本アンチエイジングフード協会 http://anti-agingfood.com/
三番町ごきげんクリニック 澤登 雅一 先生 http://www.kenko.org/index.html




















