いかに食べるかではなく、いかに食べないか?食事療法の奥の深さと”時計遺伝子”を知る!!

 

断食は、全く違った形で長く受け継がれてきた食事パターンです。

 

最近では、「ファスティング」という言葉も使われるようになりました。

 

これまでの栄養学の発想と異なるのは、いかに食べるかではなく、いかに食べないかということが追及されている点です。

 

その起源として考えられるのは、おそらく宗教でしょう。

 

宗教の世界では、俗世の欲を断ち切るという意味で、過食や飽食の習慣を一度リセットし、心身の状態を整えることが求められてきましたが、飽食が当たり前になっている現代人には、とても必要だと思います。

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胃腸を休める、減量するといった点が、断食の効用としてイメージされていると思いますが、それ以上の活性作用も考えられます。

 

最近の研究では、体の脂肪が燃焼したときに生じるプロテクチンという物質にインフルエンザの増殖を抑える働きがあることがわかりました。

 

断食すれば、脂肪は自然と燃焼し、プロテクチンが生み出されますので、それで十分なのかも知れません。

 

脂肪から作られる物質としては、ケトン体の働きも重要になりますが、病気を治すために、体は、様々な対応をしています。

 

余計なことをしないで、体の動きを信頼したほうが、治癒が進み、症状は回復しやすくなるというのが、断食の意味でもあるのです。

 

それがパーキンソン病のような神経の病気にまで有効なのはなぜでしょうか?

 

エネルギー代謝のしくみについて考えてみましょう。

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体を支えるエネルギー源は、基本的に糖質と脂質ですが、すぐにエネルギーに変換できるのは、糖質のほうです。

 

そのため、体力を回復したい時などは、まず糖分の補給がすすめられてきました。

断食すると、こうした糖の摂取が制限されることになりますから、普通に考えればエネルギー不足に陥ってしまうはずです。とりわけ脳は大量のエネルギーが必要になりますから、糖の補給は不可欠だと思っている人は多いかもしれません。

 

糖の貯金がなくなると、一時的に低血糖になりますが、やがて体に貯まっている脂肪が肝臓で分解され、ケトン体が作り出されます。

 

このケトン体が糖の代わりにエネルギー源として使用されるようになります。

 

また、ケトン体は、ただ単にエネルギー源になるというだけでなく、交感神経の緊張を和らげたり、健康に寄与する様々な働きが知られています。

 

普通に考えれば、カロリーを制限しているわけですから、体力が奪われてしかるべきですが、ケトン体が産出されると活性活動も得られやすくなり、かえって元気になります。

 

粗食だった昔の日本人の方が、現代人よりもずっと元気でいられた理由には、こうした点も挙げられるのかも知れません。

 

断食の有効性については、このほかにもインスリンの抵抗性が下がることで、臓器の働きが正常な状態にリセットされる点も挙げられます。

 

インスリンというと、血糖値の上昇を抑えるホルモンとして知られることが多いですが、実は、内臓の働きをコントロールしている「時計遺伝子」をリセットし、生体リズムを整える役割も担っています。

 

内蔵の働きをいったんリセットすることで、乱れてしまった体の生体リズムを整えます。

 

今、断食というと、摂取カロリーを減らすことで、体の老廃物を防ぐことや、たまった脂肪を減らすことばかりが取り上げられ、また、ケトン体についても、ダイエット的な視点から語られることが多いようですが、それだけではありません。

 

飽食の時代といわれて、久しいですが、なんと食糧難に陥っていた終戦直後より、摂取カロリーは

少ないのです。

 

それにもかかわらず、現実には糖尿病は増えていますし、高血圧もなかなかなくなりません。

 

理由はいろいろ考えられますが、食べる量をただ減らせばいいということではなく、「食べる時間」

を考えるということも大切です。

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生体のリズムに合わせた生活をし、食事を摂るようにすることで、摂取した栄養も効果的にエネルギーに変えられます。

 

リズムを重視することで、病気の治癒がトータルで進み、逆にリズムを無視して薬を投与しても臓器の時計遺伝子はさらに不調和を起こし、治癒効果は得られにくくなります。

 

最近の研究では、腸内環境も宿主の時計遺伝子に合わせて活動していることがわかって来ています。

 

生体リズムを意識した生活を心がけることも、健康への道です。

 

参照:「医者が教える長生きのコツ」 佐古田三郎 著

 

 

 

 

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