体調を整えたい人は、まずは「腹八分目」。間食を減らし食事のリズムを見直していくのが食養生の第一歩です。

生活サイクルの乱れというと、夜更かしばかりでなく、間食が多いなどの不規則な食生活も問題になってきます。
食事というと栄養バランスばかりが重視されがちですが、「一定のリズムでとる」ことも大事なカギを握っているのです。

 

・内臓のリズムをつくる「腹時計」とは

たとえば、マウスに1日1食、決まった時間にエサをとらせようとすると、食前に体温が上昇し、ホルモン分泌が盛んになるなど、代謝が活発になります。通常は、カゴの中にエサと水を置いて、自由に食べさせていますが、こうやって時間を決めたほうが、生体リズムが同調しやすくなるのです。

空腹になると胃から産出されるペプチドホルモンのグレリンや肝臓のケトン体が誘導され、肝臓の時計遺伝子がリセットされると考えられています。これを日の光に反応する時計遺伝子とは別に「腹時計」と呼んでもいいでしょう。「腹時計」の特徴は、内臓と同調して独自に働いているという点です。そのため、食事のサイクルが不規則になるとずれはじめ、代謝に関わっている内臓の時計遺伝子などに影響が及んでいきます。

臓器間の時計を調整しているカギを握っているのは、食事の際に分泌されるインスリンというホルモンです。
精製された糖質(砂糖や小麦粉など)を多く摂取するとグルコーススパイク(急激な血糖値上昇)が生じて、インスリンの分泌が十分行われず、その結果、各臓器の体内時計が乱れます。もちろん、不規則な食事をしていても体内時計は乱れるでしょう。

 

遅い時間に食事をしたり、アルコールをとったりすると、インスリンの分泌が適正に行われず、肝臓のリズムがおかしくなってしまい、その延長で肥満やメタボが引き起こされることもあるのです。

時々、少食にしたり、断食によってカロリー摂取を制限していくと、肝臓で脂肪酸からケトン体という物質がつくられ、腹時計がリセットされます。
アルツハイマー型の認知症の人は、脳細胞が糖質をエネルギー源として利用できなくなってしまうと言われていますが、ケトン体は脳に運ばれ、糖の代わりにエネルギーとして活用されるので食事の制限も大事になってくるのです。

・摂取した栄養素を効率よくエネルギーに変える

食事のリズムを整えるだけでも、十分に健康管理が出来ることが見えてきます。早寝早起きを心がけ、日中にしっかりと活動し、早めに夕食を済ませ、翌日の朝ご飯を決まった時間にとる。まず、こうした習慣をつければ「腹時計」のスイッチが入り、生体リズムは整いやすくなります。

3食をしっかりととったほうがいいと考える人もいますが、年配の人には2食をすすめています。例えば、前日に食べ過ぎた場合、その段階で、すでに体内時計は乱れてしまっていますから、朝ごはんを無理に食べず、絶食(断食)したほうが時計遺伝子はリセットしやすいかもしれません。問題になるのは、あくまでも不規則な食生活です。

1. 日によって食事の回数がバラバラになっている。
2. 仕事の合間にお菓子や清涼飲料水等を絶えず口にしている。
3. 忙しさにかまけて食事の時間が午後や深夜にずれ込んでしまう。
4. 深夜にお腹が空いて甘いものをつい食べてしまう。

どれも心当たりがある人は、内臓の時計遺伝子が乱れ、臓器どうしの連携がバラバラになってしまっている可能性があります。「臓器の時間分業」と呼んでいますが、臓器は日中には摂取した栄養素からエネルギーを作るために働き、夜になるとこうした代謝の過程で生じた老廃物を排出させるために働くようにできています。

時計遺伝子の指揮のもと、日中に栄養素を細胞に連携してエネルギーを作り、夜間は毒素を処理するサイクルで生命活動は営まれているのです。

食養生という点では、「何を食べるか?」が重要になってきますが、いくら良い食事をとっていても、生活リズムが不規則であったら、野菜のパワーも失われます。まずは食事のリズムを見直していくこと。シンプルですが、それが食養生の第一歩と言えます。

日常の中で体調を整えたい人は、あまり無理をせず、まずは「腹八分目」を心がけてください。そのうえで間食を減らし、朝昼晩、毎日同じ時間帯に食事をとることを意識して続けてみるといいでしょう。

食べたものがどこまで吸収でき、エネルギーに変えられるかは、人によってまちまちですから、わさわざ、カロリー計算をする必要はありません。食べ物に含まれている熱量(カロリー)を計算し、いくらバランスのとれた献立を組み立てても、食事の時間が不規則であれば何にもなりません。

食養生によって、すぐに体調を改善される人もいますが、中には少し長くかかる人もおり、そこには個人差がありますから、「急がば回れの治療法」だと思って、取り組んでいくといいでしょう。じっくり続けていくことで徐々に体力がついていき、病気への耐性も上がっていくはずです。

出典 「佐古田式養生で120歳まで生きる ~ する・しない健康法」  佐古田 三郎 著

上部へスクロール