健康のバランスを保つには、日々の体調の不安定な安定を意識すること。朝の光を浴びて体内時計をリセットさせる!!

生きることは「バランス」で成り立っています。このバランスが崩れることで、体調不良になったり、病気が発症するわけですが、そもそもバランスとは何でしょうか?

 

・「健康のバランス」をいかに保つか?

 

日々の体調は、馬の鞍に乗った状態と重なり合います。それは、絶対的に安定した状態ではありませんが、微妙なバランスをとるコツをつかむと、大病せず、日常の中で心地よさが感じられるようになっていきます。

 

私たちは、とかく安定を求めがちですが、不安定と隣り合わせで存在しています。この不安定な状態の中で、うまくバランスが保たれると心地よさが生まれ、そこに楽しさや快適さを感じるようになります。

「不安定な平衡状態」のまま放置したほうが、コストが低く、生体のバランスが保てます。心臓の働き、腸の働き、ホルモンの分泌なども、こうした不安定な安定の中で調整されているのです。

 

生活の乱れや外敵の侵入(感染)などが続くと、この「不安定な安定」が本当の不安定へと移行していきます。

日々の自分の生活に注意を払っていると本物の不安定に早く気が付くことが出来るでしょう。

 

・日の光で体内時計をリセットする。

 

体のバランスを保って行くには、リズムが重要です。自然界には、様々なリズムが存在しています。

天体の動きも、身体の中の消化管や血管の働きも、一定の周期、テンポで繰り返されるため、すべてリズムに支配されています。身体の中で働いているリズムは、「生体リズム」と呼ばれ、24時間周期のリズム(日内リズム)も含まれます。日内リズムは、約24.5時間にセットされていますから、放っておくと少しずつズレが生じ、やがては体の中で昼夜が逆転してしまいます。そのため、私たちの身体は、朝起きて日の光を浴びることでリズムのズレをリセットする仕組みを身につけました。それが体内時計にあたります。

体内時計は、細胞の中にある「時計遺伝子」によって刻まれています。そのメカニズムは、脳にある親時計と全身の細胞にある子時計の連携によって成り立っています。日の光にまず反応するのは、脳の視床下部の先端にある「視交叉上核」という、直径2ミリほどの神経細胞の集まりです。網膜でキャッチした光の情報が、この「視交叉上核」に届くと、ここに内蔵されている時計遺伝子が反応して、その指示で、松果体という場所にあるメラトニンという睡眠ホルモンの分泌が抑えられます。また、「視交叉上核」にある親時計の情報は、全身の細胞にある子時計の時計遺伝子に伝わっていきます。

 

日中に活動できるのは、時計遺伝子の働きによって体のリズムがリセットされ、睡眠から覚醒へと切り替わるからです。日が暮れて夜になるとともに眠くなってくるのは、メラトニンの分泌にも周期があり、日暮れとともに分泌が増えていくためです。朝のリセットがうまくいかないと、一日のリズム自体が不安定になってしまいます。

・時計遺伝子が代謝をコントロール

 

覚醒と睡眠のリズムが健康に大きな影響を及ぼしています。私たちの身体は、様々な組織や器官が連携をとりながら生命活動を維持しています。摂取した栄養素をエネルギーに変えていく代謝のプロセスにしても、消化管を中心とした連携プレーで成り立っているのです。たとえば、夜更かしばかりしていたら体内時計がリセットできず、朝を迎えても体の中は夜のままとなり、栄養をとっても消化管がうまく働いてくれません。

通常、朝ごはんでとった栄養は日中の活動のためのエネルギーになりますが、代謝がスムーズに進まなければ、それは脂肪として蓄積されます。不規則な日常が続けば、肥満やメタボリックシンドロームの原因になるでしょう。甘いものを食べるから太ると単純に思っているかもしれませんが、それ以上に問題になるのが生活サイクルの乱れなのです。体調が良くないと思ったら、夜更かしの習慣をやめ、早寝早起きの生活に切り替えてみてください。生活リズムが整ってくると代謝が進み、それだけで高血圧や高血糖が改善されることもあります。

太りやすい人の場合、生活リズムを整え、間食を減らすだけで体重調整ができ、健康的なダイエットに十分つながるでしょう。ヒトは昼行性の生き物なので、夜型を朝方に切り替え、日中に活動することを基本にするだけで健康状態は変わってきます。それが自然のリズムを取り戻す、第一歩といっていいかもしれません。

 

・人も「光合成」で元気になる?

 

日内リズム(生体リズム)を取り戻すために行われている光療法(高照度光療法)は、2000ルクスの人工的な光を一定時間当てて、体内時計をリセットする方法です。光を浴びることが心身の健康とどう関わっているか考えてみましょう。よく知られているのは、ビタミンDが合成され骨がつくられること、血管が拡張し血圧が下がること、セロトニンの分泌によって精神的な安定が得られることなどですが、注目する一つが「光合成」です。

光合成については、植物が太陽の光を利用し、自らが活動するための栄養(でんぷん)を得る手段として知られています。光合成が行われているのは、植物の細胞の中にある葉緑素という器官ですが、動物の体の中にもヘムという葉緑素によく似た物質があります。このヘムを有するタンパクがヘムタンパクとよばれ、その中でも有名なのがヘモグロビンです。興味深いことに、葉緑素とヘモグロビンのヘムの構造は、中心にある元素が、鉄かマグネシウムという違いです。ヘモグロビンは血液中の赤血球に存在するタンパク質の仲間で、酸素を細胞に運ぶ仕事だと思い込んでいますが、血管内細胞にも存在し、光をキャッチするセンサーとして働いているという報告もあります。一方で、メラニンという色素で光合成をしていると発表している研究者もいますし、赤い光で細胞のエネルギー工場であるミトコンドリアがATP(エネルギー)を生み出しているという報告もあります。

 

・健康管理のカギは「光を浴びること」

興味深いのは、ヘムタンパクは血液中のヘモグロビンだけでなく、私たちの身体の中に非常に多く存在しているという点です。例えば、時計遺伝子には様々な種類がありますが、主要な役割を果たすタンパク質もヘムタンパクであることがわかっています。時計遺伝子がすべての細胞に存在し、光を受けることで日内リズムを調整していますが、ここにもヘムタンパクが関わっています。光をヘムタンパクなどで吸収してエネルギーに変換したり、日内リズムを調節したりするのも自然なことのように思えます。血圧、血糖、体温なども日内リズムの中で変化しますから、こうした点からも光と健康のつながりが見えてくるでしょう。

 

紫外線の浴びすぎには気をつけた方がいいですが、日中はなるべく外で活動し、体を動かしたほうがいいということです。オフィスの中で1日中デスクワークをしているような人は、意識して光を浴びる時間をつくるようにするといいでしょう。

出典 「佐古田式養生で120歳まで生きる ~ する・しない健康法」  佐古田 三郎 著

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