自分が望む生き方は何なのか?毎日の生活の見直し具体的に実践していこう。その積み重ねが健康長寿につながっていく。

病気になったからといって病気を治すことばかりに集中せず、広く自分の日常生活を見渡し、問題があるところを少しずつ手直ししていく、実は、それが治療の近道なのです。

 

・健康についてまず考えたいこと

 

健康診断について考えてみましょう。検査結果はまったく問題がないのに体調が悪いという人は、はたして健康でしょうか?逆に検査結果に少し異常があるけれども、自分は健康に自信があると思っている場合はどうでしょうか?検査結果で、健康が決まるものではないと考えています。では、健康をどう捉えたらいいのか?健康の定義は人によって違います。「自分が今どんなふうに生きているかによって健康が定義される。」と言っていいかもしれません。つまり、どんな境遇でも自分のしたいことが出来ていれば自分は健康だと考えるでしょう。客観的な「健康」という状態があって、それに合わせれば、元気で幸せな生活が送れるわけではありません。その人の生き方(信条)と重ね合わせながら、その人なりの健康をつくりだしていく必要があります。健康を他人に委ねるのをやめ、自分なりに考える力をつけていかなくてはなりません。

 

・食べているものがあなた自身

 

「あなた自身は普段の食べもので決まる」という言葉がありますが、肉体はもちろん、精神的な病や性格も食と関係してくるかもしれません。また、最近では、腸内細菌が多くの病気に関係していることがわかってきましたが、こうした菌の生態も宿主の食事に関わってきます。普段の食べものは、自分自身だけでなく細菌のエサにもなるのです。生活習慣の乱れは常在菌との共生バランスを崩し、それが心身のバランスの崩れ、ひいては病気の発症につながっていくと考えられますから、単純に抗菌、除菌すればいいというわけではありません。

食事を変えることは、腸内環境を改善し、免疫の低下を防ぎ、さらには心のバランスを整えることにもつながります。食べ物の心身への影響は、思っている以上に大きいものだと言えるのです。

 

・「食べすぎ」をやめるだけで病気は減る

 

大阪府豊中市の刀根山病院には、パーキンソン病などの神経疾患や肺がんなどの患者さんが多く来院しておられます。パーキンソン病では、小麦を使ったパン類や麺類、お菓子の摂取が多い人が重症になりやすいとか、肺がんについては、魚の油(オメガ⒊系の不飽和脂肪酸)を多くとっていると抗がん剤の副作用が少ないなどの調査結果が出ています。少食にすると動作緩慢などパーキンソン病特有の症状や、不整脈、流涎(よだれが流れること)が改善するなどの効果が現れます。おそらく、アルツハイマー病などによる認知機能の改善も期待出来るでしょう。免疫細胞も腸の中にあり、腸は免疫の要にあたる器官ですから、腸内細胞を変化させるには、薬に頼るだけでなく、食事の見直しも重要です。効果がゆっくりでも構わない場合、少食に切り替えるだけでも十分ですが、乱れた体調をリセットするという点では絶食(断食)がいいでしょう。腸の健康から見た場合、便秘も要注意の症状なので、大きな病気がなくてもお通じが滞っている人は、時々極端な少食をおすすめします。

・食養生の基本は「菜食」にある

 

少食を実践し、体調をリセットした後にすすめているのは、昔ながらの日本食です。

具体的に言えば、野菜や果物などの植物を毎日の献立を上手く取り入れること、発酵食を活用することなどが挙げられます。健康を回復したい人は、植物や微生物の力を見直し、自然に近い食材をとりいれていく必要があります。

 

・植物の「生命力」を体に取り込む

 

植物は免疫細胞が備わっていない代わりに、自らが作り出す活性成分(ファイトケミカル)で身を守っています。私たちが植物(野菜や果物)を食べるということは、植物を生き延びさせてきた力、生命力をいただくということです。ファイトケミカルは、正確には、「ファイトアンティシビン」と「ファイトアレキシン」の2種類に分けることが出来ます。「ファイトアンティシビン」は、常に植物に備わっていて、外敵から身を守ってくれる活性成分。これに対して、もうひとつの「ファイトアレキシン」は、外部の環境が変化し、ストレスがかかったときに誘導されます。この「ファイトアレキシン」が、私たちの体の中で抗酸化、抗炎症、抗ガン、抗菌作用をうながし、健康に寄与してくれるわけです。

上手に取り入れれば、病気を予防する強い味方になります。要するに、植物が3億5000年にわたって外敵と戦ってきた成果を私たちは、食事を通じて拝借しているのです。この成果がさらに引き出せれば、その分、私たちの健康状態も高まります。そのためには、野菜に適度な負荷をかけ、さらに鍛えてあげればよいのです。そうやって、負荷を与えて「ファイトアレキシン」を引き出す効果が期待できるからです。従来の栄養学では、加熱するとビタミンが失われるといった視点から、生でとることに価値が置かれてきたところがあります。しかし、植物の持っている特性を考え、少し手間ひまをかけたほうがいい場合もあるのです。そう考えると、調理法がとても大事になってきます。煮たり、焼いたり、蒸したりすることで、食べやすくなり、消化が助けられることも確かですが、そこには、食材から、ファイトケミカル(ファイトアレキシン)を引き出そうという知恵も隠されています。湯がいたり、塩もみしたり、糠地床につけて発酵させたり、あるいは乾燥させたり、こうした工夫をすることで、植物の力は引き出せるでしょう。

とりわけ乾燥させることは、水分を抜いて、ただ日持ちをよくするだけでなく、干すことで、植物でストレスをかけ、ファイトケミカルを増やします。干し芋、干し柿、干し椎茸等、どれももともとの食材より栄養価が増し、植物としての力が倍加しているはずです。その意味では、自家製の干し野菜、ドライフルーツなどを楽しむのもいいですし、植物の葉や茎を乾燥させたお茶からも同じような効果が得られるでしょう。カロリーでお腹が満たされたとしても元気にはなれないということです。食べ物は、プロセスも含めて栄養になるのです。

 

・ガンの増殖を抑える野菜

 

具体的にどんな野菜の摂取が望ましいかというと、白菜、大根、カブ、小松菜、青梗菜、高菜、水菜、からし菜、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、クレソン、ケール、ルッコラ、わさび菜などのアブラナ科に属する野菜です。どの野菜にも、ビタミン、ミネラル、食物繊維、ファイトケミカルが豊富に含まれています。こうしたアブラナ科の野菜が注目されるのは、ポリフェノールやフラボノイド、グレコシレート、インドール、イソチオシネアートといったガンを予防する成分がたっぷりと含まれているからです。ガン細胞の増殖を抑えるのはもちろん、発がん物質に対する解毒作用があることも知られ、アメリカの国立がん研究所が発表したガンを予防する「デザイナーフード」にも多くの名前が挙げられています。

 

野菜不足だなと感じた時、外食が続いている時などは、レタスやキュウリのサラダを注文することも多いと思いますが、そうした時は和食のメニューを選び、煮物やおひたしなどでアブラナ科の野菜を多く取り入れるようにすることです。家庭で調理する際にも、意識をしてこれらの野菜を増やすといいでしょう。また、加熱料理だけではなく、おろした大根をサンマなどに付け合せたり、刺身にわさびを添えたり、一部の野菜は生でとるのもいいかもしれません。おろし大根については、さんまの焦げ目を解毒し発がん性を抑える意味がありますが、これは、すりおろすことで、酵素が混じり合い、発がん物質を解毒するイソチアネートを生み出すことが関わっています。

    

 

同じ野菜であっても、調理の方法で食材の意味が変わります。大根をおろすのと、おでんに入れるのとでは体への影響は違ってくるはずです。その意味では、単一の食材をただ炒めるのではなく、いろいろな調理法を取り入れ、献立のバリエーションを増やしていくこともオススメです。

 

出典 「佐古田式養生で120歳まで生きる ~ する・しない健康法」  佐古田 三郎 著

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