腸内フローラは、小腸から大腸にかけて生息している腸内細菌全体の総称です。
小腸と大腸はくねくねと蛇行し、たたまれるように腹部に収まっています。
その内壁には細かいヒダがあり、そのヒダを平面に広げると、テニスコートの1.5倍の面積になると言われています。それだけの面積を使って、腸は栄養素を吸収しています。
そこには、数百種類以上の腸内細菌がびっしりと敷き詰められるように生息しています。
腸内細菌の数は、およそ100兆個、その100兆個の腸内細菌の総重量は、1~1.5㎏
細菌が、隙間なくいる腸内のお花畑にたとえて、腸内フローラと呼ばれているのです。

腸の中は、地球上でもっとも高密度に細菌が生息している環境の一つですが、その理由は簡単で、
栄養が豊富にあるからです。
腸内細菌はそこで待っているだけで、栄養がどんどん送られてきます。
生物にとって、こんなに恵まれている環境は、他にはありません。
腸内細菌は長い間、4つに分類されてきました。
- 善玉菌(乳酸菌、ビフィズス菌、乳酸桿菌等)
- 食べ物の消化吸収を助ける
- 乳酸や酢酸などの有機酸を作る
- 腸内フローラのバランスを良好に保つ
- 腸の働きを整えて、下痢や便秘を予防する
- 免疫力を高めて、風邪や感染症などを予防する
- ビタミンを合成する
- 日和見菌(無毒性のバクテロイデス、無毒性の大腸菌等)
- ビタミンの合成もするが、悪玉代謝物質も作る
- 腸内フローラのバランスが良いときはおとなしいが、悪くなるとその数が増加し病原性を示すようになる場合がある。
- 悪玉菌(ウェルシュ菌、ブドウ球菌等)
- 腸内のタンパク質を腐敗させて、アンモニア硫化水素、インドール、アミン、フェノールといった悪玉代謝物質をつくる。
- 一次胆汁酸から二次胆汁酸を作る。
- 病原菌(病原性大腸菌やサルモネラ、赤痢菌等)
- 毒素などの病原因子を有し、腸管に感染することで下痢や発熱の症状を引き起こす。
これまでの科学では、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の理想的なバランスは、2:1:7くらいであり、善玉菌が常に悪玉菌より多く、悪玉菌を抑えているのが健康的な腸内環境と考えられてきました。

しかし、腸内細菌については、科学の進歩により、これまで、善玉菌とされていた中にも、働きのいい菌がいたり、そうでない菌がいたり、悪玉菌や日和見菌だと思われていた中にも、良い働きをする菌がいたりするので、一概には分けられなくなってきたのです。
また、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の理想的なバランスも大切ではありますが、研究が進むことによって、腸内フローラの多様性が重要であるという考え方も広がってきています。
病気の人は、腸内フローラの多様性が低下していることがわかってきたからです。

腸の中に特定の微生物ばかり多いのではなく、たくさんの種類の微生物がいて、あらゆる食べ物の分解ができることが、健康につながります。
この「多様性」というのが重要なキーワードの一つです。
参照:「お腹の調子がよくなる本」 福田 真嗣 著